プロセスマイニング入門(10)プロセス発見

Introduction to Process Mining (10)Process Discovery

今回は、「プロセス発見」のアプローチについて詳しく解説します。

プロセス発見 - Process Discovery

プロセス発見は、プロセスマイニングの土台となる手法です。プロセス発見をベースに適合性検査、プロセス強化、運用サポートが行われます。

プロセス発見とは端的に言えば、イベントログに基づいて「プロセスモデル」、すなわち対象プロセスのアクティビティの流れを表した「フローチャート」を自動的に作成することです。事前に、どのような手順で行われているか、といった情報を与える必要はありません。イベントログの情報(必須情報はケースID、アクティビティ、タイムスタンプ)だけを用いて、固有のアルゴリズムによってフローチャートを自動的に再現します。

従来、プロセスの流れはモデリングツールを用いて、手作業でフローチャートを作成していました。元となるのは、システム関連のドキュメント類、現場担当者へのヒアリングやワークショップによって得られた情報です。

一方、プロセスマイニングでは、ITシステムから業務に関わる操作履歴をイベントログとして抽出し、ツールにアップロードすれば自動的にフローチャートを作成してくれます。このことから、プロセスマイニングは初期のころ、「ABPD(Automated Business Process Discovery)」、すなわち、自動化された業務システム発見」とも呼ばれていたのです。

さて、プロセス発見のアプローチでは、様々な視点での分析が行えますが、基本となるのは「頻度分析(Frequency Analysis)」「パフォーマンス分析(Performance分析)」です。


頻度分析 - Frequency Analysis

頻度分析では、各アクティビティの処理件数、および複数のアクティビティの間を移動した移行件数に着目します。下図のサンプルフロー図で解説します。

開始アクティビティの処理件数は7542件です。その次のアクティビティXへの移行件数も同じく7542件です。開始アクティビティで処理された案件(ケース)はすべてアクティビティXに移行したことがわかります。

アクティビティXの処理件数は7820件となっています。移行件数7542件よりも多いのは、アクティビティXは同じ案件について繰り返し業務が発生していることが考えられます。なんらかのミスをした場合など、操作をやり直したために繰り返し業務(リワーク)として記録されたということです。

アクティビティXからアクティビティYに移行しているのは7102件と大きく減少しています。これは、アクティビティXの後、手戻りが発生して前工程に戻ったり、全く別のアクティビティへ移行していたり、分析時点ではアクティビティXが最後のアクティビティとして記録されていたりしたためです。(簡略化したサンプルのため他のアクティビティへの移行は示されていません)

頻度分析の場合、処理件数や移行件数が相対的に多くなっているところを中心に分析を深掘りします。件数が多いということは作業負荷が高いということですから、次項のパフォーマンス分析と併せて、生産性の低下やボトルネック発生がないかを確認し、改善すべき問題を特定していきます。

process discovery frequency analysis

パフォーマンス分析 - Performance Analysis

パフォーマンス分析は「時間」に基づく分析です。下図のサンプルフロー図で解説します。

開始アクティビティから終了アクティビティまでの総所要時間=スループットは、対象プロセスのパフォーマンス分析において最も重要なKPI(Key Performance Indicator)と言えるでしょう。

プロセス改善の第一の目的は多くの場合、このスループットの短縮にあります。案件処理を開始してから終了までのスループットが短ければ短いほど、生産性は向上し、処理コストも低下するからです。

スループットは、「サイクルタイム」とも呼ばれます。ある定型的な業務、たとえば特定製品の製造工程において次々と新たな製品を生み出すサイクルにおる1件あたり平均処理時間のことです。

一般にまず、全案件の平均スループットを算出します。その上で、平均スループットよりも著しく長くなっている問題プロセス、逆に、平均スループットよりも短いプロセスを把握します。前者に関しては、なぜスループットが長くなってしまっているのかの原因を探ります(例えばミスが多く発生して繰り返しが多い、手戻りが発生しているなど)一方、スループットが平均より短いプロセスは、それが正しい手順で行われているとするなら効率の良いやり方とみなすことも可能です。(こうしたプロセスのバリエーションと併せて分析することは、後述する「バリアント分析」と呼ばれます)

サンプルフロー図に戻りましょう。アクテビティごとの時間は処理時間、また複数のアクティビティの間は待ち時間です。

サンプルフローでは、開始アクティビティの処理時間は5分11秒です。開始アクティビティからアクティビティXをつなぐ線上の時間は54分。これは待ち時間です。開始アクティビティは完了した時間から、アクティビティXの処理が開始される時間までの間の時間だからです。

さて、アクティビティごとの処理時間が、KPIの目標値よりも長い場合、効率性が低いという判断になります。例えばアクティビティYの処理時間は3時間45分17秒です。もし、当アクティビティのKPI目標値が「3時間」とするなら、約45分余計に時間がかかっているわけですから効率が良くない。なんとか処理時間を短縮すべき問題箇所となります。

また、その前のアクティビティXからアクティビティYの間の待ち時間は20時間を超えています。これも、KPI目標値よりも長ければ、業務が滞留している=ボトルネックの発生ということになり、是正対象ポイントとして原因追求を図る必要があります

process discovery performance analysis

バリアント分析  – Variant Analysis

プロセスマイニングの分析対象とするイベントログデータの件数は一般に数百件から、数百万件になります。ここでの件数は対象プロセスで処理される案件数です。例えば、経理部における請求書の処理プロセスの場合、処理された請求書の件数のことです。これは経理システムで付番した請求書IDの数と一致するでしょう。

さて、開始アクティビティと終了アクティビティが同じ「定型業務プロセス」であったとしても中間処理のプロセスには様々なバリエーションがありえます。請求書処理プロセスであれば、金額などに応じて上長承認が必要なもの、必要でないもので手順が異なります。内容不備の場合の差戻し、再受領というイレギュラーな手順もあるでしょう。

バリアント分析は、こうしたバリエーションが何パターンあり、それぞれのバリエーションで処理された案件数を算出します。もちろん、それぞれのバリエーションについてのプロセスモデル、すなわちフローチャートを作成し、頻度分析やパフォーマンス分析を行うことができます。

下図のバリアント分析のイメージ図では、3つのバリエーションが存在していることを示しています。合計処理案件数433件(260件+125件+48件)のうち、バリアントXが最も多く処理されているパターンであることがわかります。バリアントは開始から終了までシンプルな流れであり、余計な分岐や手戻り的なものがありません。こうした処理件数が多いバリアントはしばしば「ハッピープロセス」と呼ばれることがあります。多くの場合、ハッピープロセスは効率的でボトルネックがなく、スループットが最も短いからです。(必ずしもそうでない場合もあります)

一方、バリアントZは、バリアントXと比べて手順が多くなっています。パフォーマンス分析で比較すれば、おそらくバリアントZのスループットはバリアントXよりも長いでしょう。バリアントZが上長の承認が必要であるなど、不可欠な手順を踏んでいるのであれば問題はありません。しかし、担当者の裁量でやらなくてもよいことをやっている、あるいはなんらかのミスによって手順が増えてしまっているとしたら是正すべき問題箇所ということになります。

以上、プロセス発見の基本的な分析視点を解説しました。多くのプロセスマイニングツールでは、リソース(担当者)のデータを付加することにより、担当者間の関係性を可視化する「ソーシャルネットワーク分析」を行うことができます。

また、費用に関わるデータを追加することにより、コスト視点での様々な分析が可能です。

プロセスマイニング入門(9)4つの基本アプローチ

Introduction to Process Mining (8)Four Basic Approaches

今回は、プロセスマイニングをプロセス改善に活用するための4つの基本アプローチについて概要をお伝えします。次回以降で、各アプローチを個別に取り上げて詳しく解説します。

1 プロセス発見 - Process Discovery

プロセス発見は、プロセスマイニングの土台となる手法です。プロセス発見をベースに適合性検査、プロセス強化、運用サポートが行われます。

プロセス発見とは、ITシステムから抽出したイベントログに基づいて、一定のアルゴリズムによって、対象プロセスをプロセスモデル、すなわち業務の流れを表すフローチャートを再現します。このプロセスモデルは、実際のシステム操作履歴を反映したものですので、「現行プロセスモデル(as is プロセスモデル)」と呼ばれます。

再現されたプロセスモデルは、大きくは2つの切り口、すなわち「頻度(処理件数)」、「時間(処理時間)」での分析を行います。

頻度分析を通じて、例えば、対象プロセスのどの箇所で処理件数が多いか=作業負荷が大きいかを把握することができます。作業負荷が大きい箇所はしばしば処理が追い付かず、ミス多発による繰り返しや業務の滞留=ボトルネックが生じやすいところです。

また、時間分析では、実際に対象プロセスの個々の工程でどの程度の処理時間を要しているかを把握します。KPI目標値に照らして想定以上の時間が掛かっている場合、それは生産性が低いことになります。また、前の工程から次の工程に移る間の時間は「待ち時間」であり、この待ち時間が想定よりも長い場合、業務が滞留する「ボトルネック」であるということが明確です。

2 適合性検査 - Conformance Checking

適合性検査という呼び方はちょっと固い表現ですが、文字通り、手本となるプロセスと現状のプロセスを比較して、現状がどの程度お手本に適合しているかを分析するアプローチです。

ここで手本となるプロセスは「参照プロセスモデル」や「規範プロセスモデル」とも呼ばれます。要するに、あるべき「理想プロセスモデル(to beプロセスモデル)」です。一方、イベントログに基づくプロセスは「現状プロセスモデル(as isプロセスモデル)」です。

適合性検査は、理想プロセスを「正」として、現状プロセスがどのように乖離、逸脱しているかを明らかにします。具体的には、理想プロセスには含まれていない手順を現状プロセスでは行っている場合(やってはいけない手順実行)や、逆に、理想プロセスに含まれている手順が、現状プロセスでは実行されていない場合(やるべき手順の不実行)などです。

3 プロセス強化 - Process Enhancement

プロセス強化は、前項の「プロセス発見」や、「適合性検査」の分析結果を踏まえて、非効率なプロセス、ボトルネックを特定し、有効な改善施策を検討し、より優れたプロセスを設計・開発するアプローチです。

プロセスマイニングツールでは、不要と思われる手順をカットしたり、業務手順を組み替えたり、ボトルネックを解消するために要因配置を変更したり、またRPAによる自動化を行った場合にどの程度の改善が期待できるかをシミュレーションできる機能が備わっているものがあります。

シミュレーションを行うことにより、プロセス強化のための優れた改善施策はどのようなものになるかを事前に検証したうえで展開できます。

4 運用サポート - Operational Support

従来、プロセスマイニングの分析対象は、過去の完了したイベントログでした。運用サポートでは、現在仕掛中のプロセス、すなわち未完了の案件に係るイベントログをほぼリアルタイムでプロセスマイニングツールに流し込み分析を行います。

そして、今まさに運用中の処理プロセスにおいて非効率、ボトルネックの箇所や逸脱を発見、あるいは予測し、担当者にメールやチャットなどでアラートを出すことで、問題の芽を早めに摘み取ったり、問題発生を未然に防ぎます。

運用サポートでは、予測分析などの高度な分析が行われるためAI(人工知能)も組み込まれており、現在最も最先端のアプローチと言えるでしょう。

four basic approaches

継続的プロセス改善のための特任組織、「COE(Center of Excellence)」とは?

Position and Role of COE – Center of Excellence for Continuous Process Improvement
English follows Japanese. Before proofread.

今回は、継続的プロセス改善を目的としたDXの推進、デジタルツインの実現を主導する特任組織ともいえる「COE(Center of Excellence)、以降COE」の位置づけや役割について解説します。

COEに対応する日本語の適切な表現はありません。そのまま「COE」と呼ばれています。欧米ではCOEを設立する企業が増えています。日本企業でもCOEが設立されているところがありますが、部署としての役割は同じでも、名称としては「DX推進部」「BPR(Business Process Re-engineering)部」といった名称になっていることが多いようです。

【DX、デジタルツインとは?】

さて、「DX(Digital Transformation)」は、テクノロジーを活用して自社ビジネスモデルを大きく変換することに主眼が置かれています。

単に、今までアナログ的にやっていた業務をデジタルツールに置き換えることではありません。テクノロジーをてこにして、事業構造、組織構造を大きく転換し、デジタルによって大きく変化しつつある社会経済環境への適応を図ろうとするものです。

また、デジタルツイン、正確には「DTO(Digital Twin of an Organization)」は、実際の業務をそのままバーチャルなモデル(=デジタルツイン)としてPCディスプレイ上に再現することで、業務プロセス上の様々な問題点を発見しやすくしたり、また日々の業務における問題発生をリアルタイムにモニタリングし、即時の是正を図ろうとするものです。

【COEの位置づけ・役割】

近年、社会経済のあらゆる側面、また企業活動のあらゆる側面においてデジタル化が進む中、旧態依然とした仕事のやり方ではもはや生き残ることはできません。企業全体のDXを推し進め、DTOによる継続的プロセス改善を行う必要があります。

ここで、DXの推進、DTO実現を主導するのが、社内の特任部隊である「COE」です。

COEは、調達、製造、物流、販売、マーケティング、サービス、経理・財務などの現業部門とIT部門の中間に位置づけられ、両者がうまく連携できるように様々な調整を行います。

COEは、最先端のテクノロジー、ツールを現業部門のユーザーが最大限に活用し、成果を出せるように様々な形で支援を行います。一方、IT部門に対しては、現業部門のニーズを吸い上げ、それをシステムの開発、改修のための要求仕様に的確に転換してIT部門を支援します。

【COEのキーメンバー】

テクノロジー活用が前提となるDX推進のためのCOEは、データドリブン、すなわち業務に関わる様々なデータを収集・分析することによって問題点を発見し、是正します。したがって、DXプロジェクトを現業部門と共に立ち上げ、COEに所属する以下のようなエキスパートをプロジェクトメンバーとして任命します。なお、彼らは必要に応じて現業部門の各種DXプロジェクトにも支援メンバーとして参画します。

・ビジネスアナリスト

 ビジネスとITの両方の知識を有し、ITによる業務プロセス改善施策の展開を企画、指揮します。改善施策出しのためのツールとして、BA、BPM、Lean、Six Sigma、PMC(Process Model Canvas)などを使いこなします。

・プロセスアナリスト

 プロセスマイニング、タスクマイニングツールを使い、データ分析に基づく問題点の発見、根本原因分析を行い、改善施策に結び付く示唆(インサイト)を提示します。

・データサイエンティスト

 IT部門のエンジニアと連携しながら、ITシステムからの分析対象データの抽出やデータクリーニングなどのデータ前処理作業を担当します。

center of excellence for process improvement

【DX推進、デジタルツイン実現の主要ツール】

現状を把握し、問題点を特定し、根本原因分析を行って改善施策を打ち出す、あるいは新たな業務プロセスを設計するためには様々な知識体系・ツールを活用しなければなりません。

代表的なものとしては以下が挙げられます。

BA(Business Analysis)

BPM(Business Process Management)

Lean Management

Six Sigma

PMC(Process Model Canvas)

前述したようにこうしたツールはビジネスアナリストが身に付けておくべきものです。

また、改善のためのITツール、テクノロジーとしては以下のようなものがあります。

・AI(人工知能)

・BPMS(Business Process Management System)

・Process Mining

・Task Miining

・RPA

COEのメンバーは、これらのテクノロジーやツールについて知識を深めるともに、技術の進展が早いため、常に最新動向をウオッチしておくことが求められます。


Position and Role of COE – Center of Excellence for Continuous Process Improvement

This article explains the role and position of the Center of Excellence (COE), which can be regarded as a specially designated organization that promotes DX for the purpose of continuous process improvement and leads the realization of digital twin.

In Europe and the United States, an increasing number of companies have established a COE. Some Japanese companies have also established a COE, and although the role of the department is the same, it is often called “DX Promotion Department” or “BPR (Business Process Re-engineering) Department”.

What is DX and Digital Twin?

“Digital Transformation” (DX) is primarily focused on using technology to significantly transform your business model.

It doesn’t mean simply replacing analog operations with digital tools. It is about leveraging technology to transform the business and organizational structures and adapt to the socio-economic environment that is changing dramatically due to digital technology.

The digital twin, or more precisely, the Digital Twin of an Organization (DTO), reproduces actual business operations as a virtual model (i.e., digital twin) on a PC display, making it easier to discover various problems in business processes and also to identify problems in the daily The purpose of the COE is to monitor the occurrence of problems in the company’s operations in real time and attempt to take immediate corrective action.

The role of the COE

In recent years, as every aspect of the socio-economy and every aspect of business activity has become more digital, the old ways of working can no longer survive. We need to push forward with enterprise-wide DX and continuous process improvement through DTO.

The COE, a specially designated unit within the company, leads the way in promoting DX and DTO implementation.

The COE is positioned between the IT department and the business units such as procurement, manufacturing, logistics, sales, marketing, service, and accounting and finance, and coordinates a variety of activities to ensure that the two departments work well together.

The COE helps the incumbent get the most out of the latest technologies and tools so that they can deliver results. On the other hand, the COE supports the IT department by absorbing the needs of the business units and translating them into the required specifications for the development and improvement of the system.

Key Members of the COE

The COE for the promotion of DX, which is based on the use of technology, is data-driven, i.e., it discovers and corrects problems through the collection and analysis of various data related to the business. Therefore, a DX project is launched together with the business units, and the following experts belonging to the COE are appointed as project members. The following experts belonging to the COE are appointed as project members, and they will also participate in various DX projects of the operational divisions as necessary.

Business Analyst

 Knowledge of both business and IT, and plans and directs the deployment of business process improvement measures using IT. Proficient in BA, BPM, Lean, Six Sigma, PMC (Process Model Canvas), etc. as tools for implementing improvement measures.

Process Analyst

 Using process and task mining tools, we discover problems based on data analysis, perform root cause analysis, and present insights that lead to improvement measures.

Data Scientist

 The successful candidate will be responsible for data pre-processing tasks such as data extraction and data cleaning from the IT system in collaboration with the IT department engineers.

center of excellence for process improvement

TOOLBOX

Various knowledge systems and tools must be used to understand the current situation, identify problems, analyze the root cause, and come up with improvement measures or design new business processes.

Typical examples are as follows;

BA(Business Analysis)

BPM (Business Process Management)

Lean Management

Six Sigma

PMC (Process Model Canvas)

As mentioned above, these tools are something business analysts should be equipped with.

In addition, IT tools and technologies for improvement include the following.

Artificial Intelligence (AI)

BPMS (Business Process Management System)

Process Mining

Task Miining

RPA

The members of the COE are expected to deepen their knowledge of these technologies and tools, and also to keep up with the latest developments in the fast-moving technologies.

プロセスマイニング入門(8)プロセスマイニングのアルゴリズム

Introduction to Process Mining (8) Process Mining Algorithm Basics

今回は、プロセスマイニングによるプロセスモデル(フローチャート)再現の基本原理であるアルゴリズムについて、わかりやすさを優先し、簡易的に説明します。

詳細な技術的解説は、プロセスマイニングのバイブルである『プロセスマイニング Data Science in Action』(Wil van der Aalst著、インプレス)をお読みください。

プロセス発見 – Process Discovery

プロセスマイニングは当初、「Automated Business Process Discovery」(自動的に業務プロセスを発見する)と説明されていました。ITシステムから抽出したイベントログデータから、対象プロセスの流れ(業務手順)を自動的に再現することが最も基本的な機能だからです。

現在は、単にプロセスを発見するだけでなく、参照プロセス(to beプロセス)との比較分析を行う「適合性検査」や、未完了の案件について予測を行ったり、逸脱発生時にアラートを流すなど、高度な機能が次々と実装されています。

したがって、プロセスマイニング=プロセス発見とは言えなくなってきたものの、プロセス発見という機能がプロセスマイニングの核となる機能であり、また分析の出発点であることは依然変わりません。

さて、イベントログは下図あるようなフラットなデータです。イベントログからプロセスモデル(フローチャート)を再現するためには、案件ID、アクティビティ、タイムスタンプの3項目があればいいのですが、初めてプロセスマイニングを知った方は、どうやってフローチャートを描くのか不思議に思われるようです。もちろん、裏には、一定の処理ロジック、すなわち「アルゴリズム」が存在します。

このアルゴリズムはプロセスマイニング固有であり、一般的なデータマイニングツールには備わっていません。したがって、プロセスマイニング分析を行い、プロセスを可視化したい場合には、プロセスマイニングツールを利用する必要があります。

process discovery

プロセスモデル(フローチャート)の再現

では、イベントログからフローチャートをどのように作成するかを簡易的なサンプルデータでご説明しましょう。

下図のデータは、案件ID(1~3)とアクティビティ(A~E)のみ。タイムスタンプは略してありますが、上から下に時間が経過している、つまり上の行にあるアクティビティほど古い時間に行われているということになります。

まず案件1についてアクティビティを拾ってみましょう。色分けしてあるので簡単です。緑色のアクティビティ、すなわちA→B→C→D→Eです。同様に、案件2(オレンジ)、案件3(青)についてそれぞれのアクティビティのフロー図が下図の中央にあります。

言うまでもないことですが、Aを起点として終点のEに至る道筋=トレースは、案件毎に異なっています。アクティビティの順番が入違ったり、同じアクティビティが繰り返されていたりしていますね。どんなプロセスであれ、その辿る道筋=トレースは複数のバリエーションがあるのが一般的です。

プロセスマイニングでは、案件ごとの個別の道筋を分析することもありますが、まずはこうした複数のバリエーション全体をうまく説明できる「プロセスモデル」を作成します。(下図右端の濃紺のフローチャート)たとえとしては正確ではありませんが、バリエーションの「最大公約数」を見つけるようなものです。

こうして、イベントログに含まれる複数の業務手順のバリエーションから、全体に当てはまりのよいプロセスモデルを作成するのがプロセスマイニングのアルゴリズムです。なお、プロセスマイニングツールに触れたことのある方はお分かりかと思いますが、このプロセスモデルの抽象度は自由に変更することが可能です。すなわち、全体の流れをざっくり把握できる抽象度の高いモデルから、すべてのバリエーションを再現した、最も抽象度の低い詳細なモデルまで、ツールの機能として「粒度」を変更できる可変スライダーが実装されています。

出所:Fluxion

プロセスモデル作成の流れ(イメージ)

さらに、もう少し詳しくアルゴリズムの原理を説明しましょう。

前項同様、わかりやすいように、タイムスタンプを省いて以下のような4つの案件が含まれたイベントログからのフローチャート作成を考えてみましょう。ここで、アルファベットは各アクテイビティであり、(A,B,C)のログは、A→B→Cという時間的順番で行われたことを意味します。

わかりやすいように、タイムスタンプを省いて、以下のような4つの案件が含まれたイベントログからのフローチャート作成を考えてみましょう。

CASE_1 (A,B,C)
CASE_2 (A,B,D)
CASE_3 (A,E,C)
CASE_4 (A,B,C,B,C)

ここで、アルファベットは各アクテイビティであり、(A,B,C)のログは、A→B→Cという時間的順番で行われたことを意味します。

まず、CASE_1のログからフローチャートを描きます。

シンプルですね。

次に、CASE_1に加えてCASE_2も考慮します。

A→B→Cだけでなく、A→B→Dというパタンも存在したことがわかったので、BからCとDに分岐するフローチャートが描かれました。

さらに、CASE_1、CASE_2、CASE_3の3つの案件を考慮したフローチャートです。

Aに続くのはBだけでなく、Eが続く手順もあるのでこのようなフローになります。

最後に、CASE_1からCASE_4までのすべてを考慮したプロセスモデルは以下の通りです。

B→Cだけでなく、C→Bと戻る手順も存在していることがわかります。手戻り発生です。

以上の例では4案件だけでしたが、実際の業務プロセス分析では数万件、数十万件の案件のイベントログに基づいて、上記のようなフローチャートを再構成していくわけです。


アルゴリズムの種類

イベントログからプロセスモデル(フローチャート)を再現するアルゴリズムも日々進化しています。

プロセスマイニングは1999年、オランダでの学術研究からスタートしていますが、当初は「アルファアルゴリズム(アルファマイナー)」が用いられました。ただ、アルファアルゴリズムには、現実のプロセスを十分に再現できないというロジック上の制約があるため、研究が進むにつれ、以下のような様々なアルゴリズムが開発されています。(それぞれに、優れている点と劣っている点があり、どれが最も優れたアルゴリズムか、ということは一概に言えません)

・ヒューリスティックマイナー

・インダクティブマイナー

・スプリットマイナー

現在入手可能なプロセスマイニングツールは世界に30ほど存在しますが、それぞれなんらかのアルゴリズムをベースに、精度を高めるためのカスタマイズを施していると思われます。

ユーザーとして留意しておきたいことは、同じイベントログだったとしても、様々なツールによって再現されたプロセスモデル(フローチャート)を比べてみたら、若干の違いがあるだろうということです。(まったく違うということはないにしても)なぜなら、それぞれ異なるアルゴリズムを実装しているからです。

プロセスマイニング入門(7)イベントログとは?

event log table sample

Introduction to Process Mining (7) What is Event Log?

今回は、プロセスマイニングの分析対象となる「イベントログ」がどのようなものかについて解説します。

典型的なイベントログのデータフォーマット

プロセスマイニングツールにアップロード可能なイベントログの典型的なデータフォーマットは下表のようなものです。

ちなみに、ツールにアップロードするためのファイル形式は「CSV」が最も一般的です。CSVだけでなく「エクセル形式」、およびXMLに基づくプロセス定義のための交換フォーマット、「XPDL形式」でのアップロードが可能なツールもあります。

また、IEEEが標準として決めたタグ形式のイベントログは「XES(eXtensible Event Stream)」と呼ばれており、プロセスマイニングツールの中にはXES形式のデータのアップロードもできるものがあります。(業務システムから抽出した生データを前処理する際、最終的にはCSV形式にするのが一般的であり、XESデータを扱うことはほとんどありません)

さて、プロセスマイニング分析のためのイベントログのデータ項目は、大きくは「必須3項目」と、残りの「属性項目」で構成されます。

eventlog sample table

【必須項目】

必須項目は以下の3つです。

・案件ID(CaseID)

 上表の例は、顧客からの航空券の払い戻しプロセスです。予約していた便がなんらかの理由で利用できなくなったため、代金の返金を求める顧客からの申請を受け付け、審査を行い、返金することを決定したら、返金手続きを行い、顧客の銀行口座に代金を振り込むという流れになっています。

このプロセスにおいて案件IDとは、個別の顧客からの特定の予約についての申請について附番されたIDになります。おそらく、顧客からWebや電話などで申請を受け付け、システムに登録(返金申請受付)された時点で自動的に付番される仕組みになっているでしょう。

この案件IDがあることで、あるひとつの案件について、起点となるアクティビティ(システム操作)から、途中の節目となるアクティビティを経由して完了アクティビティまでを縦串にして、所要時間などを分析することが可能になります。

また、資材などの購買プロセスの場合、各部門の調達担当者が作成する「購買要求」が、システムに記録された時点で付番される「購買番号」を案件IDとして扱うことになります。

・活動(アクティビティ)

活動(アクティビティ)とは、業務システム上でなんらかの業務プロセスを実行する際、節目節目で記録される操作のことです。航空券の払い戻しプロセスの場合、「返金申請受付」、「審査」、「返金決定」、「返金手続き」、「口座振り込み」といったものがアクティビティです。

システム上の操作としては、なんらかの情報入力を行い、「完了」や「保存」などのボタンを押下したタイミングで記録されることが多いでしょう。システムによっては、あるアクティビティの開始と完了の両方が記録される場合もあります。例えば、「返金申請受付開始」、「返金申請受付完了」といったようにです。これは、システム上の操作のイメージとしては、返金申請の情報入力画面を立ち上げたタイミングで「返金申請受付開始」が、また、同入力画面を完了ボタンを押下して終了したタイミングで「返金申請受付完了」が記録されると考えてください。

操作のどのタイミングでアクティビティとして記録されるかはシステムの仕様次第であり様々です。おおむね、開始アクテイビティ、または終了アクティビティのどちらか一方しか記録されないシステムが多くなっています。

なお、一つ一つのアクティビティはシステムにおいては「イベント」として次に述べるタイムスタンプととともに記録されます。すなわち、「イベントログ」とは、システム上の操作イベントをひとまとまりのデータとして集約したもの、と言えます。

・時刻(Timestamp)

時刻(タイムスタンプ)とは、前項の活動(アクテイビティ)が業務システムで行われた時間を記録したものです。どの程度詳細な時刻が記録されているかはシステムの仕様次第です。できれば「年・月・日・時・分・秒」で記録されているのが望ましいのですが、「年・月・日・時・分」だったり、「年・月・日」だけで、時分が含まれていない場合もあります。

タイムスタンプは、案件IDに基づいて縦串した複数のアクテイビティの時間的順序、つまり、どのアクティビティが先に(後に)行われたかを判断するアルゴリズムに用います。したがって、「年・月・日」だけ、つまり時分秒が含まれていない場合、同日に行われた複数のアクテビティの時間的順序の判別が困難となり、プロセスフローチャートの精度が低下することになります。

【属性項目】

属性項目は、分析を深めるために追加する各種データ項目です。

航空券払い戻しプロセスの例では、「リソース」「処理費用」「顧客(名)」の3つが属性項目です。リソースは、当該システムを操作する担当者のことであり、しばしば、その担当者の所属部署や役職=ロールの属性も分析対象とします。

また、購買プロセスの場合には、「サプライヤー名」や「製品名」なども追加されます。

属性項目は、業務プロセス上の問題(非効率性やボトルネックなど)を特定した際、それは、特定のリソースや顧客において起こりやすいかどうか、といった深堀りを行う「根本原因分析」において活用するものです。また、「活動基準原価計算(ABC: Activity Based Costing)」などに基づいて、処理費用の算出が可能であれば、属性項目として処理費用を追加することで、プロセスに係るコスト視点での分析が可能となります。


イベントログデータ作成フロー

プロセスマイニングの対象とする業務プロセスを決定したら、その業務プロセスを遂行しているITシステムから、必要なデータを抽出するわけですが、抽出されたデータ(生データ:トランザクションデータ)をそのままプロセスマイニングツールにアップロードすることはできません。

というのも、プロセスマイニングツールにアップロードするファイルは、ノイズなどが除去され、所定のデータ項目が揃ったクリーンなファイルに一本化する必要があるからです。

一般に、ITシステム内のDBから抽出されたデータは年度単位でファイルが分かれていたり、トランザクションファイルとマスターファイルが分かれていたり、データの抜け漏れ(ブランク)や文字化けがあったりと、要するに汚れたデータ、ダーティデータです。

このような複数(しばしば数十本)のダーティデータをクリーンにし1つのデータファイル=クリーンなイベントログに加工する作業が「データ前処理」です。例えば、ブランクが存在するデータについては一括削除したり、なんらかの補正値を入力したりします。こうした前処理作業を数十万~数百万件の生データに対して行うため、基本的にはデータ前処理のためのツール「ETL」を用います。

ETLはExtract, Tranform, Loadの頭文字を取ったものです。文字通りデータ抽出からデータ変換(加工)、他のツールへのアップロード、さらには分析機能も持つ多機能なツールですが、プロセスマイニングにおいてはもっぱらデータ変換(加工)に活用します。

私がお勧めしているETLは、「KNIME(ナイム)」というオープンソースのツールです。日本語ローカライズはされていませんが、なんせ無料ですし、直感的な操作を行うことができる非常に優れたツールです。

KNIMEであれば、様々なデータ加工をノンプログラミングで行うことができるため、エンジニアでなくともデータ前処理を実行可能です。もちろん、エンジニアの方がデータ前処理を行うのであれば、SQL、Python、Rなど得意なスクリプトでデータ加工処理を行えば、KNIMEより高速に処理ができるでしょう。

なお、データ前処理の手順をワークフローとして作成すれば、同じプロセスについては差分データの前処理も同じワークフローで可能です。したがって、APIを通じて業務システムから分析対象の生データを抽出して前処理を行いプロセスマイニングにアップロードするまでを自動化することができます。

プロセスマイニングツールによっては、一般的なSaaS型の業務システムについて、APIで直接データを吸い上げる「コネクター」を提供しており、データの前処理作業も行えるものもあります。

deta preparation overview

プロセスマイニング導入可否判断のための簡易フローチャート

Flow Chart for Validating Process Mining Introduction for your organization

自社にとって「プロセスマイニング」の方法・ツールを導入することが妥当かどうかを判断するための簡易的な判断フローチャートを以下に示します。

プロセスマイニングは、業務分析のためのひとつの手法・ツールです。業務運用を効率化したり、支援してくれる各種ソリューション(SFAやRPA、OCRなど)とは異なり、あくまで現状を把握し、問題点を抽出することが主要な目的となります。

process mining validity check flow chart

上記フローチャートのゴール、「業務プロセス改善の取り組みを開始しましょう」にたどり着いた方は、ぜひお問い合わせからご連絡ください。具体的な進め方についてご相談に乗ります。

プロセスマイニング入門(6)プロセスマイニングと関連ソリューション

process mining and related solution

Introduction to Process Mining (6) Process Mining and Related Solution

今回は、プロセスマイニングの隣接分野、関連ソリューションとの関係性について解説します。

ビジネスインテリジェンス(BI)の視点から

プロセスマイニングは分析手法のひとつです。ビジネスへの適用を前提とすると下図の通り、一番大きな枠として「ビジネスインテリジェンス」があり、その内側に「プロセスインテリジェンス」、さらにその内側に「プロセスマイニング」があるという入れ子構造になっていると考えることが可能です。

まずビジネスインテリジェンスですが、文字通り、ビジネスに関わるあらゆるデータ・情報を分析対象として収集し、分析するものです。いわゆるBIツールを用いて分析することが多いですが、典型的には、売上や利益などの財務データをベースに、年度別、月別、週別などの推移を見たり、エリア別や製品別にドリルダウンして、売上や利益に貢献しているエリアや製品カテゴリ、逆に足を引っ張っている要因がどこかを掘り下げて分析する。これがビジネスインテリジェンスです。

ビジネスインテリジェンスのうち、特に業務プロセスに関わるデータ・情報に絞って各種分析を行うのが「プロセスインテリジェンス」です。さらに、プロセスインテリジェンスの中で、業務の流れ、すなわち「コントロールフロー」を核とする分析手法が「プロセスマイニング」です。

このようにみると、プロセスマイニングは大きくはビジネスインテリジェンスに含まれるため、ビジネスインテリジェンスで代替できるのではないか、とおっしゃる方もいます。

しかし、プロセスマイニングの基本機能である「(自動的な)プロセス発見」には、特殊なアルゴリズムが必要であり、BIツールには、このアルゴリズムは通常、実装されていません。また、BI機能に基づいて、プロセスマイニング用のアルゴリズムをゼロベースで組むのは現実的には不可能です。(初歩的なものは組めたとしても、それによって、再現されたプロセスモデルの信頼性は低いものでしょう)

したがって、プロセスマイニングを実行したければ、専用のプロセスマイニングツールの採用が必要になり、BIで代替することはできません。

では、プロセスインテリジェンスがカバーする領域はどこになるのでしょうか?

プロセスマイニングツールでは、特殊なアルゴリズムを用いて行うプロセス発見以外に、様々な統計数値を算出し、様々な表・グラフで表現する機能が備わっています。

例えば、分析対象としたプロセスに含まれる案件数、プロセスの開始から終了までのスループット(サイクルタイム)や、各アクティビティごとの処理数、処理時間、あるアクティビティから別のアクティビティまでの移行時間、すなわち待ち時間などです。そして、これらの数値に関して平均、最大・最小、中央値、標準偏差などを併せて確認することが可能です。

こうした統計数値の算出は、シンプルな四則演算ベースで可能であり、特殊なアルゴリズムは言うまでもなく必要ありません。BIでも簡単に実行できますが、これこそ「プロセスインテリジェンス」がカバーしている領域です。

プロセスマイニングによる分析においては、アルゴリズムを通じて発見された「プロセスモデル」(as isプロセスモデル)を起点に、様々なバリエーションを検証する「バリアント分析」や、理想プロセス(to beプロセス)との比較分析、すなわち適合性検査などを行います。

さらに、処理時間がKPIを超えている問題アクティビティや、待ち時間が長くなっているボトルネックを特定していきますが、ここで重要になってくるのが処理件数や処理時間、待ち時間などの基本統計数値です。

すなわち、プロセスマイニングでは、プロセスモデルと併せてプロセスインテリジェンスの数値を様々な視点で掘り下げることを行うわけです。

主要なプロセスマイニングツールでは、プロセスモデルを作成するアルゴリズムは当然として、プロセスインテリジェンス機能、特に、様々な数値をビジュアルに表現するダッシュボード機能が標準で装備されています。この意味では、現在のプロセスマイニングツールは、「プロセスインテリジェンスツール」と言い換えても全く支障がないと言えます。



BPM、データマイニング・AIとの関係

プロセスマイニングと密接な関係がある隣接分野があります。ひとつはデータマイニング・AI、もうひとつはBPM(Business Process Management)です。

まずは「データマイニング・AI」とは何かから説明します。データマイニングは、基本的にビッグデータを対象とした分析手法であり、その主な目的はものごとの因果関係や典型的なパターンのような「法則性」を発見して、様々な意思決定に役立てることです。

例えば、各地の気温、湿度などの天候情報を大量に収集し、データマイニングでそのデータを分析することで、どのような状況において晴天になりやすいのか、それとも雨天になりやすいのかの予測式がつくられ、天気予報に活用されています。

データマイニングでは、数十年前から活用されてきた「多変量解析」の手法、例えば、回帰分析や、クラスター分析、決定木分析に加え、近年は主にニューラルネットワークによるディープラーニングが飛躍的な進歩を遂げ、ものごとを判別したり、予測する精度が大きく向上しています。一般に、これらの分析手法のことは「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」と呼ばれますが、AIはデータマイニングにおいて頻繁に利用される手法なので、当記事では「データマイニング・AI」と一括りにしています。

さて、データマイニングはあらゆる分野のあらゆるビッグデータを分析対象としますが、基本的に「プロセス」を対象とはしてきませんでした。ある瞬間、すなわちスナップショット的な静的なデータを抽出して、要約したり、分類したり、因果関係を見出してきたりしたのです。

一方、プロセスマイニングは、文字通り、時系列のひとつながりになった動的なデータから、プロセスの流れを描き出すこと、すなわち「プロセスモデル」を作成することが基本にあります。もちろん、プロセス処理件数や処理時間など、プロセスに関わる静的な各種統計量も併せて算出する点は、データマイニングと共通しています。

こう考えると、データマイニングとプロセスマイニングは、分析手法としては兄弟分のようなものです。(どちらにも「マイニング」という言葉が含まれていますし)

ただ、プロセスマイニングを主体に考えると、プロセスに関わる様々な分析を深めていくうえで、データマイニング、AIの手法が応用されています。例えば、現在処理中の案件(ランニングケース)の終了までのリードタイムを推測するためには、データマイニングにおける「予測分析」が採用されています。

それ以外にも、必要に応じて、クラスター分析や決定木分析などが活用可能であり、今後も、プロセスマイニングツールとしての分析の幅や精度を高めるためにデータマイニングの手法がプロセスマイニングに取り入れられていくと考えられます。

では次に、BPM(BPM)について考えてみましょう。BPMはシンプルにいえば、プロセスを改善することを目的として、プロセスの現状を分析し、問題点を解消するto beプロセスを設計し、現場に展開・監視を行う一連の活動です。

このBPMの活動のうち、とりわけ「現状分析」において、プロセスマイニングの基本アプローチのひとつ、「プロセス発見」は役立ちますし、その後の設計、展開、監視においても、プロセスマイニングが提供できる「適合性検査」、「プロセス強化」のアプローチはBPMにとって強力な武器となりえます。

このように、プロセスマイニングとデータマイニング・AI、BPMはお互いに補完しあえる関係にあると言えます。プロセスマイニングのゴッドファーザー、Wil van der Aalst教授は、「プロセスマイニングは、データマイニングとBPMをつなぐ橋である」と述べられていますが、まさに、BPMの取り組みにおいて、プロセスに特化したデータマイニングとしての「プロセスマイニング」は大きな役割を果たしていくと思われます。


プロセスマイニングの前工程と後工程

業務プロセス改善の取り組みにおいて、プロセスマイニング活用を中心に置くと、プロセスマイニング分析を行う前工程としての「データ前処理」に関わるソリューションと、プロセスマイニング分析後の実際の改善施策としての様々なソリューションが存在します。

データ前処理は、ERPなどの業務システムから分析対象となるデータを抽出し、プロセスマイニングツール(およびタスクマイニング)で分析できるデータ形式へと整形する作業です。

業務システムから抽出した生のデータをそのままプロセスマイニングツールにアップロードできることは基本的にありません。抽出されたデータは複数のファイルで構成され、実際の取引履歴であるトランザクションデータ以外に、参照するためのマスターファイルが含まれています。また、データには抜け漏れ、文字化けなど、そのままでは分析できない箇所が存在するため、適宜削除、補正するなどの作業が必要です。これを「データ前処理」と呼びます。

データ前処理は、SQLやPythonなどで処理プログラムを記述することで高速に行えますが、こうした言語を知らなくても、データ前処理を簡単に行えるETLツールの利用を私はお勧めしています。ETLツールもいろいろとありますが、オープンソースで操作も簡単な「KNIME(ナイム)」が一押しです。

さて、プロセスマイニング分析後に発見した問題を解決するための施策としてのソリューションには、まずRPA(Robotic Process Automation)によるタスク自動化が挙げられます。また、プロセス単位で一定の業務手順を自動化するためにはビジネスプロセスマネジメントシステム(BPMS)の採用が有効でしょう。また、業務を遂行するためのリソース最適化のために、アウトソーシングサービス(BPO)の活用も検討に値するでしょう。

なお、プロセスマイニングを軸とする継続的プロセス改善のためには、分析対象となる各種データを長期に亘って蓄積し、柔軟に抽出できる仕組みが有効です。したがって、データウェアハウス(DWH)やデータレイクと呼ばれる分析系システムを構築して、実運用によって不断に生み出されるデータを収集・蓄積しておくことが望ましいです。

deta preparation process mining and dwh

プロセスマイニング入門(5)プロセスマイニングの適用対象・範囲

Introduction to Process Mining (5) Application areas of Process Mining

今回は、プロセスマイニングによる分析が可能な適用対象について、いくつかの視点で解説します。

システム・テクノロジー視点

まず、システムやテクノロジーの視点でプロセスマイニングの分析が可能なものについて概説します。

プロセスマイニングは1999年に研究がスタートしました。もともと、ビジネスプロセスマネジメント、ワークフローといった業務プロセスの可視化を目的として始まった分析手法ですので、分析対象となったのは企業の基幹システムである「ERP」です。こうしたシステムは取引履歴がDBに詳細に記録・保持されています(「大福帳型DB」とも言います)。

取引履歴、すなわちトランザクションデータには、業務システムの操作の節目となるアクティビティ、タイムスタンプ、そして案件IDが基本的に含まれており、プロセスマイニング分析が容易に行えるデータだと言えます。

また、ERPと並んで、CRM(SFA含む)システムから抽出される業務システム操作ログは営業管理、顧客管理に関わるデータであり、プロセスマイニングの分析対象として有効です。

もちろん、個々の企業が独自開発したレガシーシステムについても、それがどんなコンピュータ言語で開発されていようとも、「業務システム操作ログ」が記録・保持されていればプロセスマイニングでの分析が可能となります。(多くの場合、レガシーシステムでも業務システム操作ログ、あるいはトランザクションデータはなんらかの形で記録されています。)

また、コールセンターでの顧客からの問い合わせの対応履歴を管理するCTI(Computer Telephony Integration)や、ITヘルプデスクのためのシステムからは、問い合わせ対応や、チケット対応履歴データが抽出できます。この、いわゆる「コミュニケーションログ」も、プロセスマイニングではしばしば分析されます。迅速な解決のための対応プロセスの改善により、顧客満足の向上を目指すことが主な目的です。

Webサイトの訪問履歴、すなわち「Webアクセスログ」も、訪問者のセッションID(Cookieも可)、訪問したページ(=アクティビティ)、タイムスタンプの3つの必須データ項目が含まれており、Web上での顧客の振る舞いを分析するためにプロセスマイニングが採用されます。顧客の行動をプロセスマイニング分析することは「カスタマージャーニーマイニング」と呼ばれています。

さて、意外な分析対象なのが、「機器操作ログ」です。「マシンログ」とも言いますが、これまでしばしば分析されているのが医療機器、具体的にはCTやMRIといったものです。分析目的は、稼働率の向上や適切に利用されているか、といったものです。

また、近年、IOT(Internet Of Things)が注目され、あらゆる場所にセンサーが設置されることで、センサーが捕捉したログが大量に発生しています。センサー捕捉ログはデータ量が大きく、ノイズが大量に存在しますが、適切にデータ前処理を行うことでプロセスマイニングを実行できます。

最後は、エクセルやブラウザーの詳細な操作履歴を収集したPC操作ログです。PC操作ログは、業務システム内に保存されているイベントログと異なり、分析対象PCに操作内容を収集するエージェントをインストールして能動的に蓄積する必要があります。PC操作ログは、タスクレベルの業務内容の見える化が可能であることから、「タスクマイニング」と呼ばれます。このPC操作ログはIOT同様、データ量が膨大でノイズが多く含まれますが、データ前処理を行うことでプロセスマイニングツールでの分析が可能です。

application system view process mining

バリューチェーン視点

下図は、企業活動を価値を生み出し、顧客に提供する仕組みとして構造化してもので「バリューチェーン」と呼ばれています。ここでは、バリューチェーンの視点でプロセスマイニングの分析対象を考えてみましょう。

様々な企業活動において、収益を得て事業を継続する「価値創出プロセス」は、

購買物流→製造→出荷物流→販売・マーケティング→アフターサービス

の流れです。この価値創出プロセスの多くは現在、ERPや、CRM(SFA)などの業務システム、またSaaS型の各種アプリケーションで遂行されるようになってきており、どの段階においても、プロセスマイニング分析による継続的改善が行われるようになってきました。

また、この価値創出を支えるさまざまな機能、すなわち調達活動、技術開発、人事労務管理、全般管理についても、システム化が進行している管理についてはプロセスマイニングが採用されるケースが増えてきています。

例えば、人事労務管理の領域になりますが、新規採用人材の受け入れプロセスである「オンボーディング」を効果的、効率的に行うための改善を目的としてプロセスマイニングが採用されています。

application value chain view process mining

分析対象となることの多い業務プロセス

最後に、これまでプロセスマイニングの分析対象となることの多かった業務プロセスをご紹介します。

まず、「受注(O2C)プロセス」、「購買(P2P)プロセス」は非常に多く分析されています。バリューチェーンの枠組みでは、まさに価値創出プロセスの根幹にある最も重要な業務だからでしょう。欧米では特に、ERP上で実行されることの多い業務プロセスであり、データの抽出、前処理の手順がある程度標準化できることも、分析対象とされることの多い理由です。

また、受注プロセスに含まれますが、倉庫などで、顧客からの発注を受けて在庫を割り当て、出荷を行うまでのプロセスが分析されることも多くなっています。

さらに、バリューチェーンの価値創出プロセスでは最下流にあたる「問い合わせ対応」やヘルプデスクも、手順がある程度定型化され、イベントログとしてシステムから抽出が容易なためプロセスマイニングが行われています。

経理部門に限定されるプロセスとして、「買掛金管理」、「売掛金管理」も、ERP上でほぼ完結し、分析が容易であることから、しばしば分析対象となります。

major application process mining

プロセスマイニング入門(4)プロセスマイニングの効用

Introduction to Process Mining (4) What Process Mining can deliver

今回は、プロセスマイニングの活用がもたらす主な効用(ベネフィット)について解説します。

経営的インパクト

まずは、経営的な視点で考えてみましょう。すなわち、プロセスマイニングの活用が、経営上のゴールともいえる売上や利益の向上にどのように貢献できるか、ということについてです。

第一に、「コスト削減」の成果が期待できます。プロセスマイニングによって業務プロセスが可視化されることにより、ムダな業務を洗い出すことが可能です。ムダな業務とは、たとえば、そもそもやらなくても支障のない業務や、ミス多発により手戻りが発生しやすい業務などです。こうしたムダな業務を除去したり、ミスを減らせるような手立てを講ずることで、業務プロセスの遂行コストの削減が可能となります。

第二に、「顧客満足度向上」が期待できます。例えば、受注から納品までの「受注プロセス」の場合、プロセスマイニングによる問題点の把握と改善を行うことによって、納期の短縮が図れます。顧客にとって、注文したものが以前よりも早く届くようになれば満足度は高まります。また、業務プロセスが最適化されれば、納期短縮だけでなく、発注したものとは違うものが届くといったミスも減ることも期待できます。すなわち、プロセスのスピード、および質の向上によって顧客満足度の向上が可能となり、結果的に受注金額の増大やリピート率改善につながることになります。

第三に、「従業員満足度の向上」も期待できます。プロセスマイニングによってあぶりだされたムダな作業や業務の滞留、すなわちボトルネックが解消されれば、業務プロセス完了に費やされる労働時間が減り、不必要な残業がなくなって総労働時間の短縮が可能となります。徒労に感じられるような業務に時間を取られることなく、効率的に業務を遂行できるようになり士気も高まることでしょう。

business impact by process mining

プロセス改善の手がかり

前項では、最終的な売上・利益にどのようにプロセスマイニングが貢献できるかを解説しました。ここでは、プロセスマイニング分析の結果から、どのようなプロセス改善につなげることができるかを説明します。

プロセスマイニングツールにイベントログをアップロードし分析を行うことでまず「現状プロセス」が可視化されます。ここから様々な現状分析を行っていきます。可視化された現状のプロセス(as is プロセス)からは以下のような問題点が発見できるでしょう。

・非効率なプロセス(想定よりも処理時間が長い箇所)

・ボトルネック(仕事が滞留している箇所)

・スタッフスキルのばらつき(個々人の生産性の違い)

・手戻り(繰り返し)プロセス

これらの問題が発見できたら、「なぜこのような問題が発生してしまうのか」を掘り下げます。「根本原因分析」です。結果、原因が特定できたら、その原因を解消するための改善施策を検討し展開します。改善施策としては以下のような打ち手が考えられます。

・プロセス変革(ムダ業務の除去、手順の見直しなど)

・要員配置の最適化(シフトの見直し等)

・スキルアップトレーニング(生産性の差を均すため)

・RPA化(定型業務を中心とした自動化)

・BPO化(要因配置計画をより柔軟に行うため)

また、可視化された現状プロセスのバリエーションの中に、優れた手順を発見することができたら、それを「理想プロセス(ハッピープロセスとも言います)」とみなし、標準化を図ります。そして、マニュアルを作成したりBPMシステムのワークフローとして組み込むことで全社に展開することが有効な打ち手でしょう。

一方、すでに標準プロセスが存在していた場合、それをto beプロセスとしてプロセスマイニングツールにアップロードすれば、現状プロセスとの比較分析(「適合性検査」と呼びます)を行うことで、標準から逸脱しているプロセスをあぶりだすことができます。

この逸脱についても根本原因分析を行い、即時是正を行ったり、法令遵守、すなわちコンプライアンス上の問題に発展する可能性がある場合には、対象部署に対するコンプライアンス研修などを行い、逸脱発生を未然に防ぐ施策を打ちます。

このように、プロセス改善、プロセスの標準化に向けての適切な改善施策を検討する前段となる、プロセス上の様々な問題を簡単に発見できることが、プロセスマイニングの直接的な効用だと言えます。

なお、プロセスマイニングツールと業務プロセスを接続可能とし、リアルタイムにイベントログデータをツールに流し込むことで、完了した案件だけでなく、未完了案件のリアルタイム監視も可能です。

リアルタイム監視の場合、現在仕掛り案件についてボトルネックや逸脱の発生を探知できることから、ただちに改善措置を行うことが可能となります。ツールによっては問題の発生を事前に予測することもでき、未然に問題発生を阻止することさえ行えます。こうした機能は「運用サポート」と呼ばれ、近年ユーザーの評価がますます高まっている、プロセスマイニングのベネフィットだと言えます。


業務分析手法としての効用

プロセスマイニングは、業務プロセス改善やシステム改修を主な目的とする現状把握のための業務分析のひとつです。従来の業務分析は現場ヒアリングなどアナログな手法であったのに対し、業務システムから抽出されたイベントログデータを分析するデジタルな手法です。

これまで述べてきた便益に加えて、業務分析手法としてのプロセスマイニングは従来のアナログな手法と比較してのメリットもあります。

従来手法は前述したように、分析対象となる業務プロセスに関わっている関係者に個別ヒアリングを行ったり、一堂に会して議論するワークショップ、またストップウオッチを手にしての観察調査(動作調査)などアナログな方法です。

ヒアリングやワークショップの場合、関係者の発言がベースになることから、ありのままの現実というよりは主観的なものになります。また、記憶に頼ったものになるため、得られる情報は断片的です。

なにより、長大・複雑なプロセスの場合関係者も多数存在し、ヒアリングやワークショップにかかる時間とコストは膨大なものになります。観察調査は主観性はある程度排除できるもののの実施の負荷は大きく、また業務遂行の邪魔になる可能性もあります。

一方、プロセスマイニング分析は、業務システムから抽出したイベントログデータにもとづく定量分析です。システム上の操作履歴を基本的に丸ごと、全数で分析するため、客観的かつ、漏れのないエンド・ツー・エンドのプロセスを再現することが可能です。

プロセスマイニング分析自体は、現場担当者に大きな負担をかけることはありませんし、データクリーニングなどの前処理の手間を含めても、従来手法よりも大幅な期間圧縮、コストダウンが可能です。

ただし、注意点があります。プロセスマイニング分析の分析対象は業務システムで行われた業務のみであり、エクセルなどで行われた中間ファイル作成業務などは捕捉できません。プロセスマイニングは、エンド・ツー・エンドのプロセスを見える化できるとは言え、その粒度は現実の業務よりは粗いものになります。

したがって、プロセスマイニング分析から得られた現状プロセスをベースに、漏れているタスクレベルの業務はやはり現場担当者へのヒアリングやワークショップを補完的に行う必要があります。もちろん、従来手法のようにゼロベースでのヒアリングよりは、はるかに的確で効率的な情報収集が可能となりますので、業務分析にプロセスマイニングを採用することのメリットは総合的には非常に大きいと言えるでしょう。

(新サービス)おためし分析パック

Process Mining Trial Analysis Service for Validity verification

有効性検証のための

プロセスマイニング分析おためしパッケージ

プロセスマイニングを採用してみたいが、自社にとって有効な手法・ツールなのかよくわからないという方のために、「おためし分析」のサービスパッケージをご提供します。

当サービスパッケージは、貴社イベントログのサンプルデータを用いてクイックに分析を行い、貴社にとっての有効性を検証するものです。分析に関わるほとんどの作業を当方にて行うため、貴社内のリソース負荷を最小限に抑えることができます。

また、ツール採用ありきではなく、貴社業務プロセス改善の枠組みにおいて最適なプロセスマイニング活用法や、貴社改善ニーズに合致したソリューションの選定をお手伝いします。

実施予算など詳細はお問い合わせページからご連絡ください。

以下、サービスパッケージ概要をお伝えします。


サービス概要】

目的:プロセスマイニングの有効性検証

当サービスパッケージは、プロセスマイニング(PM)による業務プロセスの可視化によって、貴社業務の効率化やコスト削減、顧客・従業員満足度向上、収益改善等に、プロセスマイニングが有効な手法かどうかを検証することを目的として実施します。


有効性検証のポイント

1 貴社業務プロセスに関わるイベントログ(操作履歴)が存在するか

  (業務遂行のために、なんらかのITシステムを一部でも活用しているか)

2 ITシステムから抽出可能なイベントログは、貴社業務プロセスを十分に再現できるか

3 ITシステムから抽出したイベントログは、PM分析が可能なデータ形式に加工・修正可能か

4 PM分析の結果から発見した業務上の問題は解決すべきものか・解決可能か

5 PM分析の結果から発見された業務上の問題を解決するためのリソース(予算、人員等)は確保できるか

(総合)PM分析を活用して業務プロセスを改善・改革する取り組みは、貴社の経営・事業戦略に照らして投資対象となりえるか


サービスパッケージ内容

process mining trial analysis procedure

標準実施スケジュール:最長2カ月(8週間)


実施予算など詳細はお問い合わせページからご連絡ください。

Webinar登壇 – ABBYY Timeline

Webinar – ABBYY Timeline

ABBYYジャパン主催のウェビナーにて、プロセスマイニングの概要、および最新トレンドについてお話いたします。

私の講演に続いて、ABBYY社のプロセスマイニングツールのTimelineの紹介、およびデモがあります。ABBYY Timelineは他のプロセスマイニングとは大きく異なるユーザーインターフェイスを持つユニークなツールです。ぜひご覧になってみてください。

以下、ABBYYジャパン様からの案内を転載いたします。


今こそ業務プロセスを把握し、業務の自動化、リモート化を実現!
— プロセスマイニングの基礎とABBYY Timeline紹介 —

セミナー概要:
コロナウィルスの大流行の後、新しい生活様式が求められる中、ワークスタイルの変革も急務となってきております。皆様が新たなワークスタイルを模索する上で、業務プロセスの見直しには欠かせないプロセスマイニングの基本、最新事情、プロセスマイニングツールでもあるABBYY Timelineの紹介を行います。
今回はゲストスピーカーとして、プロセスマイニング分野で日本の第一人者でもある、プロセスマイニング・イニシアティブ代表の松尾様をお招きし、プロセスマイニングの抑えておくべきコツ、最新事情など、ご講演いただきます。

セミナー日程:
2020年7月17日(金)15:00 – 16:00 第一回 お申し込みはこちら
2020年8月19日(水)15:00 – 16:00 第二回 お申し込みはこちら
※2回とも同じ内容になります。いずれかの回へご登録下さい。
※ご登録いただきました方へは、Webinarで使用した資料を後日ご提供予定です。

VPCで考えるプロセスマイニングの価値提案

Value Proposition of Process Mining based on VPC (Value Proposition Canvas)

当記事は、プロセスマイニングツール、および関連サービスを提供する方を対象としています。

さて、プロセスマイニングの導入・活用を検討している見込みユーザー(企業・組織)に対して、プロセスマイニングの価値をどのように説明したらいいのでしょうか。

そこで、今回プロセスマイニングの価値を適切に伝えるために役立つ「VPC (Value Proposition Canvas)」の枠組みを使って考えてみましょう。

まず、VPC (Value Proposition Canvas)について説明します。VPCは、ビジネスモデルジェネレーションの方法論において紹介されているもので、顧客ニーズを明確化し、そのニーズを充足するための価値提案の方向性を検討するために役立つ枠組みです。

VPCは、大きくは「顧客プロフィール」と「価値提案」の2つの要素に分かれており、両者をマッチングするように以下の項目を埋めていきます。


顧客プロフィール

 ・顧客の課題

   顧客が解決したい課題、取り組みたいこと

 ・顧客の利得

   上記課題が解決されることによって顧客が得る便益、うれしいこと

 ・顧客の悩み

   顧客が課題解決に取り組む上での悩みや嫌なこと

価値提案

 ・利得をもたらすもの

  顧客が得る便益を生み出す製品・サービスの機能や特徴

 ・顧客の悩みを除去するもの

  顧客が抱える悩みを解消できる製品・サービスの機能や特徴

 ・製品サービス

  実際に顧客に販売したい製品・サービス


では、プロセスマイニングのツールや関連サービス(データ前処理、ツール操作トレーニング、プロセスコンサルティングなど)について、VPCを作成してみましょう。

顧客プロフィール

 ・顧客の課題

   業務プロセスの改善、またDX、すなわちデジタルトランスフォーメーションの推進によってデジタルツイン(DTO: Digital Twin Organization)を実現すること

 ・顧客の利得

  プロセス遂行の効率が向上する結果、コストが削減でき利益が拡大する

   プロセスのリードタイム、スループットが短縮化され、納期等が早くなることで顧客満足度が向上

   コンプライアンス違反となる逸脱プロセスを是正できコンプライアンス遵守率が向上

   現在処理を行っている最中の案件について問題(ボトルネック化など)や逸脱を探知して即時是正

1回限りの改善ではなく、常にベターなプロセスを目指して継続的なプロセス改善が行える

 ・顧客の悩み

   現状を把握するための現場担当者の協力を得るのが大変、ヒアリングやワークショップの調整にも手間がかかる(従来の手法では)

   プロセスを分析するコストが高い(従来の手法では)

   プロセスを分析するための期間が長い(従来の手法では)

プロセスマイニングの価値提案

 ・利得をもたらすもの

  プロセスの見える化、根本原因分析が行え、容易に問題を発見し、改善できる

  規範モデル(to beモデル)との比較分析により、逸脱プロセスを容易に発見、改善できる

  シミュレーションにより、改善効果の事前検証を行える

  予測分析により、現在進行中案件における問題発生を予防できる

  リアルタイム監視により、現在処理中の案件の問題や逸脱を即時発見、是正

 ・顧客の悩みを除去するもの

  情報システムから抽出したイベントログからプロセスが可視化できるため、現場ヒアリングの工数が削減できる

  プロセス分析に係るコストも従来手法と比較して大幅削減できる

  プロセス分析に必要な所要期間も、従来手法と比較して大幅削減できる

  アラート機能で、問題・逸脱発生をリアルタイムに通知

 ・製品サービス

  プロセスマイニングツール

  関連サービス(トレーニング、データ前処理、プロセスコンサルテーションなど)

value proposition canvas - process mining

いかがでしょうか。これは私なりの価値提案であり、ご自身で「ここはちょっと違うな」と感じたところは、ぜひ修正してみてください。

BMGで考えるプロセスマイニングビジネス

business model generation - process mining

Process Mining Business from the View Point of Business Model Generation

今回は、ビジネスモデルジェネレーション(Business Model Generation、以下BMG)の枠組みで、プロセスマイニングビジネスの構成要素をご説明しましょう。ここで、プロセスマイニングビジネスとは、プロセスマイニングツール、および関連サービスを提供する事業のことです。

プロセスマイニングは、コロナ時代を乗り切るため、ビジネスプロセスの根本的改善、またDX推進の必要性が高まったことで、より一層注目が高まりつつあります。日本では、プロセスマイニングの普及が始まったばかりです。最近、コンサルティングファームやSIerを中心に、プロセスマイニングベンダーとパートナー契約を結び、プロセスマイニングビジネスに乗り出す企業が次々と登場しています。

さて、BGMは文字通り、「ビジネスモデル」を生み出すための枠組みであり、以下の9つの要素で構成されます。(BGM自体の詳細は関連書籍などでご確認ください)


1 CS (Customer Segments) - 顧客セグメント

2 CR (Customer Relationships) - 顧客との関係

3 CH (Channels) - チャネル(販売方法)

4 VP (Value Proposition) ー 価値提案

5 KA (Key Activities) - 主な活動

6 KR(Key Resources) - 主なリソース

7 KP (Key Partners) - キーパートナー

8 RS (Revenue Streams)  - 収入の流れ

9 CS (Cost Structure) - コスト構造

BMGをざっくり言うと、どんな顧客を対象として、どんな価値を提案するのか、そのためにどのようなリソースを用いてどんな活動をどんなパートナーと行っていくのか、その結果としてどのような売り上げ構造とコスト構造になるかを明確化するものです。

BMGに基づいて事業の在り方を明確化することで、戦略立案、体制づくり、予算確保など具体的な事業計画に落とし込んでいくことが可能となります。


では、BMGに基づいて、「プロセスマイニングビジネス」のビジネスモデルを展開してみましょう。下図は、ビジネスモデルキャンバスと呼ばれています。BMGの9つの構成要素を一覧できる形になっています。

Business Model Canvas - Process Mining

この図に示されている項目は、プロセスマイニングビジネスに取り組む企業の一般的なビジネスモデルと言えます。私自身も、このビジネスモデルに沿って事業展開を行っています。

それでは、各構成要素について簡単に説明しましょう。


1 CS (Customer Segments) - 顧客セグメント

プロセスマイニングを提案する主要なターゲットセグメントは、複雑なオペレーションを有する大手企業となります。その理由はまず、業務プロセスにおける様々な課題を抱えており、改善による収益増、コスト削減効果が高いことがひとつ。もうひとつは、プロセスマイニングツールを活用した業務プロセス改善の取り組みは相応の予算(数百万~数千万)が必要であるためです。

また、実際の導入検討に関わる主な部署は、業務プロセス改善やDX推進の主体となることの多い経営管理部門や、BPRチームです。企業によっては、CoE(Center of Excellence)と呼ばれる専任部署を設置していることがありますが、CoEもまたプロセスマイニングを活用する担当部署となることが多いでしょう。

プロセスマイニングツールはITとしての側面もあるため、情報システム部門が担当部署となる場合もあり、キーパーソンはCIO(Chief Information Officer)です。

2 CR (Customer Relationships) - 顧客との関係

プロセスマイニングは、業務プロセス改善やDX推進のための一連の方法論です。

ツールは短期のBPRプロジェクトなどで採用されることもありますが、処理中プロセスのモニタリングとしての活用も増加しており継続的な利用へと駒を進めていくべきでしょう。

また、プロセスマイニングツールを提供すれば終わりではなく、ツール操作方法のトレーニングに加えてデータ前処理、分析後の改善施策の立案実行など、ユーザー企業の社内では賄えないところについては、付帯的な支援を短期、または長期に行っていく必要があります。

3 CH (Channels) - チャネル(販売方法)

ここのチャネルは、顧客獲得のためのマーケティング施策を記載しています。

プロセスマイニングは高度で複雑な取り組みであり、その仕組みやメリット、導入手順をユーザー企業に理解してもらうのは簡単ではありません。したがって、コンテンツマーケティングを主体にSEO・SEMを実施すべきでしょう。

また、高額なサービスとなりますので問い合わせから成約までの期間はどうしても長くなります。したがって、イベント・セミナーも開催して顧客との関係性を深めつつ、メールマーケティングを通じた継続的な情報提供を行い、ホットリードを営業に渡すという流れになります。

4 VP (Value Proposition) ー 価値提案

プロセスマイニングを活用することの価値は、まずは業務プロセスを見える化できることでの課題発見があります。さらに、シミュレーション機能を使ってRPAによる自動化がもたらしてくれる改善効果などを事前に検証することが可能です。

そして、最終的な成果としては、プロセスが改善されたことによって総所要時間、すなわちスループットが短縮化するため受注プロセスでは顧客満足度の向上、また効率化によるコスト削減効果があります。

また、プロセスマイニングは、それ自体が目的ではなく、業務プロセス改善における「業務分析」の一環として行うものですが、従来の手法(現場担当者へのヒアリングやワークショップ等)よりも、期間短縮、コスト削減が見込めます。

5 KA (Key Activities) - 主な活動

プロセスマイニングビジネス推進するための主な活動としては、顧客獲得のためのマーケティング、直接営業、および協働するパートナーの支援に加えて、成約後のプロセスマイニング導入の支援、およびクライアント自身がツール操作やプロセスマイニングを活用したプロセス改善を行えるようになるためのスキルトランスファー、カスタマーサクセス(カスタマーサポート)を行う必要があります。

6 KR(Key Resources) - 主なリソース

上記主な活動を実行するために必要なリソース、すなわち人材としてはまず、プロセスマイニングに通暁したエキスパート(ツール操作にも習熟)、そして、分析対象となるイベントログを作成するためのデータ前処理(データクリーニング等)を行うデータサイエンティストが不可欠です。

ITシステムからイベントログ(多くの場合、トランザクションデータ)を抽出するためにはITエンジニアの助けが必要となります。

プロセスマイニング分析結果から明らかになったプロセス上の課題については、具体的な改善策の立案、実行のため、プロセス改善を支援するプロセスコンサルタントが活躍します。

7 KP (Key Partners) - キーパートナー

前述したように、プロセスマイニングは高度で複雑な取り組みであり、主なリソースとして様々なスキルを有した人材で推進チームを編成する必要があります。主なリソースをすべて社内で揃えられるのであれば問題ありませんが、基本的にはコンサルティングファーム、SIer、BPOプロバイダーなどとパートナー契約を結び、プロセスマイニングビジネス展開のエコシステム(生態系)を構築する必要があるでしょう。

8 RS (Revenue Streams)  - 収入の流れ

プロセスマイニングビジネスにおいては、ツールを提供するだけでなく、プロセス改善プロジェクトに則した様々な付帯サービスを提供できなければならないことから、ライセンスフィー以外の収益源も多岐に渡ります。

ライセンスフィーによる収益もさることながら、データ前処理やプロセスマイニング分析の実行、その後のプロセス改善支援などのコンサルティングサービスからの売上も大きくなります。

9 CS (Cost Structure) - コスト構造

プロセスマイニングビジネスに関わる直接コストとしては、ツールベンダーに対する各種支払い以外では、人件費とマーケティング費用が大半を占めます。


以上、プロセスマイニングビジネスのビジネスモデルをBMGの枠組みで解説しました。

プロセスマイニングビジネスはその先に、BPMS(Business Process Management System)やRPAの導入など広がりもあり、非常に有望な事業です。ぜひ貴社ならではのビジネスモデルを開発してみてください。

プロセスマイニングの進化

evolution of process mining

Process Mining Evolution – from Process Mining 1.0 to 2.0

当記事では、プロセスマイニングが今後どのように進化していくのかについて簡単にご説明します。プロセスマイニングベンダーは現在、この進化の方向に向かってツールの機能拡張に取り組んでいます。

プロセスマイニングとは、業務システムから抽出したイベントログデータに基づいて、現行業務プロセス(as isプロセス)を可視化し、非効率な手順やボトルネックなどを発見する「分析アプローチ」です。その目的は、業務プロセスの継続的改善にあります。多くの場合、大量のデータを扱うことから、ビッグデータ分析のひとつと言えます。またデータマイニングとも近い関係にあります。

さて、日々遂行される業務プロセスの継続的改善を目的としていることから、プロセスマイニングの分析アプローチは「記述的分析」を起点に、「処方的分析」に向けて進化を始めています。なお、これは、一般的なデータマイニングにおける分析アプローチの進化と軌を一にしています。


記述的分析 – Descriptive Analytics

記述的分析とは、ありのままの現状を把握することです。

イベントログから現行プロセスを「プロセスフローチャート」の形で見える化する機能、すなわち「プロセス発見(Process Discovery)」で得られるものであり、プロセスマイニング分析の最も基本的な機能です。(したがって、この機能がないものはプロセスマイニングツールとは呼べません)

診断的分析 – Diagnostic Analysis

診断的分析とは、記述的分析で得られた現行プロセスモデルにおける問題点(非効率やボトルネックなど)の要因分析を行うものです。

「なぜ、この箇所は想定より時間が掛かっていて非効率となっているのか」、「なぜ、ここで処理待ちが多く発生しているのか、すなわちボトルネックなのか」というなぜを追求します。「根本原因分析(Root Cause Analysis)」と呼ばれる深堀り分析です。

予測分析 – Predictive Analytics

予測分析では、現在仕掛中の未完了案件(Running Case)をリアルタイムに分析し、今後どうなりそうかを予測します。

記述的分析、診断的分析では、完了済、すなわち過去のイベントログデータを分析しますが、さらに、予測モデルを開発することで、未完了案件の未来の振る舞いを確率的に予測します。すなわち、次に起こりえる活動(Activity)はなんになる可能性が高いか、また、終了までの所要時間はあと何時間になりそうか、といったことを予測し、担当者に伝えます。

ある案件の今後の流れが好ましくない方向に行きそうである、またKPIの目標値よりも所要時間が長くなりすぎて約束納期を過ぎてしまう、といったことを事前に知ることができれば、適切な予防策を講じることが可能となります。

処方分析 – Prescriptive Analytics

処方分析は、単に今後のプロセスの振る舞いを予測するだけでなく、プロセス改善のために、どのような打ち手が望ましいかをアドバイスするものです。

医師が患者を診療して、熱やセキなどの症状を記述し、インフルエンザと診断、今後高熱がさらに続くと予測して、解熱剤を処方するように、業務プロセスの将来の悪化を予測したときに、どのような改善策を講じるかを提案する。これが処方分析です。


以上、説明してきた進化の4段階のうち、記述的分析と診断的分析は、多くのプロセスマイニングツールの機能として既に実装されています。また、ユーザーもこの2つの分析を活用していることから、「プロセスマイニング1.0」と言えるでしょう。機能としては、プロセス自動発見機能と関連する分析機能によって、根本原因分析を行います。

そして、予測的分析機能や、処方的分析機能を持つものは、「プロセスマイニング2.0」と呼ぶ先進的なプロセスマイニングツールです。一部のリーディングベンダーがこれらの機能へと拡張を始めているところです。

evolution of process mining

プロセスマイニング2.0の機能としては、以下の3つが挙げられますが詳細は別記事にて。

・予測的プロセス監視 – Predictive Process Monitoring

・処方的プロセス監視 – Prescriptive Process Monitoring

・自動プロセス改善 – Automated Process Improvement

なお、プロセスマイニング進化について詳しく調べたい方は、BPM、プロセスマイニングの専門家、Marlon Duma氏(エストニアTartu大学教授)の著作やスライドシェア資料、セッション動画をご参照ください。

プロセスマイニング事例: FREO

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Concise report of process mining case: FREO – Process Mining Camp 2020

プロセスマイニングツールとして最も初期から提供されているDiscoの開発・販売元、Fluxicon社は毎年、「プロセスマイニングキャンプ」と題したイベントを開催しています。

2020年のプロセスマイニングキャンプは、オンラインにて2020年6月15日(月)~24日(水)で開催されました。土日を除き1日1セッション、合計8セッションが行われ、様々な企業・組織でのプロセスマイニングの活用事例が報告されました。

PMI(Process Mining Initiative)では、一部のセッションについて重要なポイントに絞った簡潔なレポートを提供いたします。なお、セッション動画は後日、Fluxicon社より一般公開されます。


FREO – 日々の業務改善にプロセスマイニングを活用

FREOはオランダで消費者向けローンを提供しています。ユーザーの主なローン使途は、自動車購入、住宅リフォーム、既存ローンの借り換えなどです。ローンの申し込みはWeb、または電話で受け付け。ローンの申込件数は年間10万件以上、かかってくる電話は同2万件以上に上ります。

同社では、日々の業務管理(Operational Management)のため、BIツールのPower BIなどとともにプロセスマイニングツールを活用して、プロセス上の問題点を発見、継続的な改善を行っています。

さて、FREOの日々の業務、すなわちローン申し込みの受け付けから契約までは以下の段階で構成されています。このプロセスに従事するFREOのスタッフは60人以上です。


1 ローンの申し込み(Loan Application) – ユーザー

 ユーザー(消費者)から、Webまたは電話でローンの申し込みを受け付けます。

2 ローンの提案(Loan Offer) – 顧客接点チーム

 顧客接点チームが、申し込み内容に対して適切なローン商品を提案します。

3 書類確認(Loan Validation) – 顧客確認チーム

 顧客確認チームが、ローン申し込み者について必要な書類が揃っているかを確認します。

4 ローン審査(Credit Approval)- ローン審査チーム

 ローン審査チームが申込者の書類を審査し、ローンを提供するかどうかを決定します。

5 ローン契約(Contract)

審査がOKだった場合、ユーザーとローン契約を締結し、融資金額を銀行口座に振り込みます。


FREOでは、上記の日常業務に関してKPI(Key Performance Indicator)を設定しています。KPIは、大きくは以下の5つのカテゴリーです。


1 品質(Quality)

 工程が一回で問題なく終了するか(First Time Right)

2 迅速性(Timeliness)

 製品・サービスの提供スピードは速いか

3 受け入れ能力と生産性(Capacity and Productivity)

 効率的にメンバーの対応キャパが使われているか

4 費用と利益(Cost and Benefits)

 運用コスト、利益に与える影響度合い

5 顧客・従業員満足(Satisfaction)

 製品・サービスの提供プロセスに対する顧客、および構成メンバーの満足度


FREOでは、KPIの最初の3つ、すなわち「品質」、「迅速性」、「対応能力と生産性」が高まれば、結果的に「費用と利益」、および「顧客・従業員満足」は高まる関係にあると考え、最初の3つの改善に取り組んでいます。

そして、具体的なKPIの指標としては、マネジメントレベル、チームレベル、および日常業務レベルでそれぞれ以下のようなものがあります。


マネジメントレベル

 ・ローン申し込みから契約までの平均スループット(総所要時間)

チームレベル

 ・申し込みから初回コンタクトまでの平均所要時間(顧客接点チーム)

 ・書類受領から書類確認終了までの平均所要時間(顧客確認チーム)

 ・確認後書類受領からローン審査終了までの平均所要時間(ローン審査チーム)

日常業務レベル

 ・申込件数(全チーム)

 ・24時間で連絡した申込件数(顧客接点チーム)

 ・24時間で書類確認した申込件数(顧客確認チーム)

 ・24時間で審査した申込件数(ローン審査チーム)


同社ではこれらKIPをBIのダッシュボードで日々モニタリングすると同時に、問題点を発見するための深堀り分析にプロセスマイニングを活用しています。

プロセスマイニングでは、日々のKPIをモニタリングしているだけではわからない、実際の業務の流れが可視化できます。FREOのローン申し込みから契約までの業務プロセスにも様々な問題が発見できました。

たとえば、ユーザーが申し込んだ後、顧客接点チームが連絡してもユーザーから返信がない、あるいは商品を提案した後、書類が揃わない、などの理由で、それぞれ適切なフォロー施策を展開するため、様々な業務手順の分岐が発生しています。また、ローン受け付け、書類確認、ローン審査のそれぞれの段階に移る箇所で処理待ち、すなわちボトルネックが発生していることが定量的に把握できます。同社では、手順の組み換えやリソース(担当者)のアサインを柔軟に見直すなどして、問題の解消に当たっています。

同社では、プロセスマイニングを単なる問題発見ツールとしてだけでなく、実際の業務プロセスが可視化できることで、関係するメンバーが「すごい(Sense of Excitement)」と思ってもらうこと、また、非効率性やボトルネックが一目瞭然となることから「すぐに改善しなければ(Sense of Urgency)」という気持ちを喚起できる仕掛け、すなわちプロセス改善を着手させ(Initiator)促進する(Katalysator)ことのできる有益なアプローチとして活用しています。

Seventh Day of Camp – Freo – Process Mining Camp 2020

プロセスマイニング事例: AIG

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Concise report of process mining case: AIG – Process Mining Camp 2020

プロセスマイニングツールとして最も初期から提供されているDiscoの開発・販売元、Fluxicon社は毎年、「プロセスマイニングキャンプ」と題したイベントを開催しています。

2020年のプロセスマイニングキャンプは、オンラインにて2020年6月15日(月)~24日(水)で開催されました。土日を除き1日1セッション、合計8セッションが行われ、様々な企業・組織でのプロセスマイニングの活用事例が報告されました。

PMI(Process Mining Initiative)では、一部のセッションについて重要なポイントに絞った簡潔なレポートを提供いたします。なお、セッション動画は後日、Fluxicon社より一般公開されます。


AIG (USA) – Process Wind Tunnel(プロセス風洞)で確実な改善効果を

グローバルに展開する保険会社、AIGでは様々な業務プロセス改善に取り組んでいます。特に、米国AIGの”Data-Driven Process Optimization”と呼ばれる部署では、プロセスマイニング、シミュレーション、BIを組み合わせることで改善成果を積み重ねています。

Data-Driven Process Optimization部署では、プロセス改善の一連の手順を「プロセス風洞(Process Wind Tunnel)」と呼んでいます。自動車や航空機、建築物などの設計においては、風洞に模型を置いて風の流れ等を測定する「風洞実験」を行います。同様に、プロセスの改善にあたって、シミュレーションによる改善成果の予測を行った上で改善施策に展開するという手順を踏んでいるのです。

プロセス風洞は以下の4つの段階で構成されます。

1 データ収集(Data Collection)

ITシステムからのイベントログ抽出に加えて、ビジネスルール、およびリソース(担当者などの属性データを統合します。

2 現状分析(Current State Analysis)

BIツール、プロセスマイニングツールを用いて現状プロセスを可視化し、様々な視点で分析を深めます。

3 未来状態設計(Future Sate Design)

現状を再現するシミュレーションモデルを作成し、さらに、リソース配分の変更などプロセスを最適化するようにモデルのパラメターを変更し、改善成果を試算します。

4 実行

前項のシミュレーションを踏まえ、パイロットプロジェクトを走らせたり、システム改修、新ツールの導入などの改善施策を実行し、改善状況をモニタリングします。

今回紹介された取り組み例はサービス業務です。これは、お客様から届く、月間6万件に上る様々な書類を処理する業務です。書類は、USPSの通常便であったり、翌日配達便であったり、FAX、あるいはeメールと様々な形態があります。

紙の場合には開封して中身をチェックし、スキャンするといった手作業があります。こうした手作業については動作調査(motion study)を行って平均処理時間など、シミュレーションに必要なパラメターとなる情報を収集しています。

データ化された後の処理は、BIツールで曜日別の書類到着数などの統計的分析、およびプロセスマイニング分析を行って現行プロセスモデルを可視化し、プロセス上の問題点を抽出するとともに、データ分析結果から得られた数値はシミュレーションのパラメターとして用いています。

サービス業務の場合、シミュレーションの結果、50%ものスループット(総所要時間)の改善が見込めることがわかり、実際に改善施策を講じたところ、シミュレーションの予測に等しい結果が得られたとのことでした。

Third Day of Camp – AIG – Process Mining Camp 2020

プロセスマイニング事例: Lufthansa Technik

airline engine maintenance

Concise report of process mining case: Lufthansa Technik – Process Mining Camp 2020

プロセスマイニングツールとして最も初期から提供されているDiscoの開発・販売元、Fluxicon社は毎年、「プロセスマイニングキャンプ」と題したイベントを開催しています。

2020年のプロセスマイニングキャンプは、オンラインにて2020年6月15日(月)~24日(水)で開催されました。土日を除き1日1セッション、合計8セッションが行われ、様々な企業・組織でのプロセスマイニングの活用事例が報告されました。

PMI(Process Mining Initiative)では、一部のセッションについて重要なポイントに絞った簡潔なレポートを提供いたします。なお、セッション動画は後日、Fluxicon社より一般公開されます。


Lufthansa Technik – 部品補修プロセスの改善に活用

Lufthansa Technikは、航空機の整備、補修、オーバホールのサービスを提供しています。同社にとって最も重要な課題は、クライアント(航空会社)から預かった航空機の整備や補修を可能な限り速やかに行うことです。というのも、整備、補修に係る時間がみじかいほど、航空機の運航時間が増え、クライアントの収益向上につながるからです。したがって、Lufthansa Technikにおけるプロセス改善においては、「スピードアップ」が基本戦略です。

さて、プロセスマイニングに取り組む同社が今回、事例として取り上げたのは部品補修(Parts Repair)のプロセスです。プロセスマイニング分析によって発見された業務遂行上の問題点の改善には、リーンマネジメントの考え方がベースにありますが、さらにボトルネックに関しては制約理論(Theory of Constraints)を適用した点が特徴的です。

部品補修プロセスはほとんどがERP上で遂行されていることから、クオリティ、信頼性の高い分析対象データを抽出することが可能でした。一部、システム外で行われている業務については、担当者が開始時間、終了時間を手入力で記録することでイベントログデータが作成されています。

プロセスマイニング分析結果から、部品補修プロセスの総所要時間(ターンアラウンドタイム、またはスループットと呼ぶ)を長くしている大きなボトルネックは3カ所ありました。すなわち、「検査(Inspection)」、「提案と承認(Proposal and approval)」、「修繕と認証(Repair and certification)」です。

各工程では、大きなユニットの60-80%が処理待ちとなっており、このため6日~12日ほど想定よりも時間が掛かっていました。どれも解決すべきボトルネックではありましたが、どの工程から着手するか、優先順位をつけるために同社では「制約理論(Theory of Constraints)」を適用しました。制約理論は、プロセス改善を目的としてボトルネックの解消に取り組むためのアプローチです。そして、制約理論に基づき、「提案と承認(Proposal and approval)」からボトルネック解消のための施策を開始したのです。

また、プロセスマイニング分析後の改善の取り組みにおいては、「スピードアップ」の基本戦略を踏まえて、ワークショップを開催、「価値提供プロセスマップ(Value Stream Map)」を作成してプロセス課題を抽出、Wiki、Jira、Backlogなどのツールを用いてプロセス改善プロジェクトを推進しました。

プロセスマイニング分析後の改善の取り組みにおいて、スピードアップの戦略方針を踏まえて、ワークショップを開催、プロセスの流れを見直しつつ課題を抽出、Wiki、Jira、Backlogなどのツールを用いてプロセス改善プロジェクトを推進しました。

First Day of Camp – Lufthansa Technik – Process Mining Camp 2020

プロセスマイニングとタスクマイニングの違い – 早わかり一覧表

difference in Approach between pm and tm

Difference between Process Mining and Task Mining – table for easy understanding.

業務プロセス改善のための分析手法である、「プロセスマイニング」と「タスクマイニング」の違いについて簡単にご理解いただけるよう、早わかり一覧表を作成しました。

より詳しくご理解されたい方はお問い合わせください!

difference between processmining and taskmining

なお、基本的にどちらも業務プロセスを分析対象としますが、プロセスマイニングがマクロなアプローチ、言い換えると鳥瞰的視点(Bird’s eye view)で業務の流れをざっくり把握するのに対し、タスクマイニングはミクロなアプローチ、すなわち詳細な業務手順を虫メガネで覗くような蟻観(ぎかん)的視点(Ants’ eye view)で把握するという根本的な違いがあり、両者を補完的に活用することが望ましいでしょう。

approach

プロセスマイニングツール評価レポート – NEAT Report:Process Discovery & Mining 2020 (NelsonHall)

NEAT Evaluation Report: Process Discovery & Mining 2020 by NelsonHall

IT、ビジネスサービス業界を対象とする調査分析会社、NelsonHall社が、プロセスマイニング市場の主要ベンダーについての評価レポート(NEAT: NelsonHall Vendor Envaluation & Assessment Tool)を6月2日に公表しました。

ツールの評価ポジショニングマップを引用することは難しいため、言葉での説明に留めます。ポジショニングマップをご覧になりたい方は、本文末尾の参照元をご覧ください。

さて、ポジショニングマップにおける評価の2次元は、横軸が「将来のクライアント要件に対応する能力」、縦軸は「今すぐのベネフィットを提供できる能力」です。この2軸からポジショニングマップは4象限に区分されています。右上がリーダー、右下がイノベーター、左上がハイアチーバー(高達成者)、左下がメジャープレーヤーの区分です。

評価対象となったベンダーは以下の15社です。各種業務システムから抽出したイベントログを対象とする分析ツールだけでなく、PC操作ログを対象とする分析ソリューションを提供するベンダーも含まれています。このため、Gartnerのプロセスマイニング・マーケットガイドで紹介されている主要ベンダーとは多少違いがあります。

1 ABBYY

2 BusinessOptix

3 Celonis

4 EdgeVerve

5 Kryon

6 Lana Labs,

7 myInvenio

8 NICE Systems

9 Process Diamond

10 QPR Software

11 Signavio

12 Skan

13 Software AG

14 UiPath

15 UpFlux

上記ベンダーのうち、ポジショニングマップのリーダー象限には、Celonis、Software AG、ABBYY、UIPathが位置付けられています。イノベーターには、QPR、Signavio、NICE、ハイアチーバーとしてはmyInvenioが置かれています。

詳細は、NelsonHall社のWebサイト、およびCelonis社のコンテンツをご確認ください。

Process Discovery & Mining 2020 NelsonHall NEAT Analysis

Celonis Named a Leader i NelsonHall NEAT Assessment: Process Mining, Process Discovery, Process Automation, Workforce Automation

リリースしました!プロセスマイニング実践入門 – Udemy

introduction to process mining in practice udemy

INTRODUCTION TO PROCESS MINING IN PRACTICE – e-learning course on Udemy

プロセスマイニングを実際に導入する際に、知っておきたい基本知識が学べるeラーニングコースを公開いたしました。

詳細・受講申し込みはこちらからお願いいたします!


受講対象者:

  • 企業や組織でプロセスマイニングの導入を担当されている方
  • プロセスマイニングの導入を支援されているコンサルタントの方
  • プロセスマイニングのエキスパートを目指したい方

コースの特徴:

プロセスマイニングの理論的側面ではなく、ビジネスへの応用を成功に導くために役立つ内容になっています。プロセスマイニングの原理を含む包括的なeラーニングコースは、プロセスマイニングのゴッドファーザー、Wil van der Aalst教授がCourseraを通じて2014年から提供されています。

しかし、特定のプロセスマイニングツールに依拠せず、また、業務プロセス改善を目的とするビジネス応用に重点を置いた実践的なeラーニングコースは、日本だけでなく世界でもまだ提供されていないことから、世界初のプロセスマイニングの実践入門講座となります。

なお、英語版も後日リリース予定です。

コース受講メリット

  • プロセスマイニングの基本的な知識が習得できます
  • プロセスマイニングの導入意義を上司など、社内関係者に効果的に伝えることができるようになります(導入担当者)
  • 見込み客に対して、プロセスマイニングの価値を説得力のある形で伝えることができるようになります(プロセスマイニングコンサルタント)