プロセスマイニング事例:ABB – 処方的分析の取り組み

Process Mining Case: ABB – Prescriptive Anaytics

ABB(Asea Brown Boveri、アセア・ブラウン・ボベリ)はスイスに本社があり、電力関連、充電、重工業を主事業とするエンジニアリング企業です。従業員数は約11万人、世界100カ国以上に事業展展開しています。

ABBは、プロセスマイニングの早期採用企業のひとつです。2013年に、Celonisによる初めてのPoC(Proof of Concept)をドイツにあるグループ企業にて実施。2018年には、グローバル規模での全社導入を開始しています。

2019年以降は、サプライチェーン全体をデジタル化(デジタルサプライチェーン)して、E2E(End to End)で可視化、さらに、プロセスに潜む問題点の発見だけでなく、どのように改善すべきかを提示してくれる処方的分析(Prescriptive Analysis)のパイロットプログラムを走らせています。

ABBのデジタルサプライチェーンにおけるE2Eとは、原材料等の購買から製造、顧客への販売、納品までをカバーするものです。したがって、このサプライチェーンに関わるシステムはERPだけでも60以上、その他のアプリケーション(SalesForceやオフィスソフトなども含む)は全世界で6000以上という巨大で複雑なものです。

そこで、ABBでは、プロセスマイニングツールをプロセス分析としてだけでなく、多数のシステム、アプリケーションをイベントログデータとして相互接続するためのツールとして活用しています。

こうしてサプライチェーン全体をデータとして統合し、プロセスマイニング分析を行うことで、Gartnerが説く、DTO(Digital Twin of an Organization)の実現を目指し、以下の3つの領域に取り組んでいます。

1 モニタリング:継続的改善

2 モデリング:as isとの適合性、プロセス最適化

3 エグゼキューション:プロセス自動化、リアルタイムアラート(問題指摘、改善提案)


デジタルサプライチェーンに含まれる主なプロセスは以下の通りです。

  • マスターデータ管理
  • 販売プロセス
  • エンジニアリング
  • プロジェクト実行管理
  • サプライチェーン(購買プロセス)
  • 製造
  • 物流
  • 設置・試運転
  • 経理・財務処理

ABBでは上記のプロセスで採用されている様々なシステム(SAP, SFDC, SNOW, MES, PLM等)から抽出したイベントログデータをデータレイク化し、各種IDで接続することでE2Eプロセスのプロセスマイニングに取り組んでおり、主なKPIとしては以下のようなものを設定してダッシュボードを作成しています。

  • スループット
  • リードタイム
  • 在庫回転率
  • コスト
  • 品質

さらに、ABBでは、担当部署ごとの主要目標を設定し、プロセスの問題とその根本原因の発見を踏まえた具体的な改善アクション自動的に作成して、担当者にアラートを送信する手順を確立するパイロットプログラムを走らせています。これが「処方的分析」であり、プロセスマイニングで最も最先端の取り組みだと言えるでしょう。