プロセスマイニングトレンド – グローバル 2005-2019

Process mining trend – global 2005-2019

日本では2019年初頭から本格展開が始まったプロセスマイニング。2020年は、本格導入する日本企業が続々と登場しそうな状況です。

さて、1990年代末に欧州・オランダで生まれたプロセスマイニングですが、2010年代から普及が本格化し、2018年以降はRPAに続くITトレンドとしてブームの様相を呈しています。

プロセスマイニング市場はまだまだ新しいため、市場全体を把握できるデータや資料がほとんど存在しません。そんな中、イタリアのITコンサルティング会社、「HSPI Management Consulting」が2018年から毎年発行している「Process Mining: A DATABASE OF APPLICATION」は、プロセスマイニングプロジェクト件数ベースでの概要を伝えてくれる貴重な調査資料です。

当記事では、上記調査資料の最新版、2020 Edition(2020年1月20日公開)の一部をご紹介します。なお、以下に示すデータは、世界各国のプロセスマイニングツールベンダーや、プロセスマイニング導入を支援するコンサルティング会社等に協力を仰ぎ、任意に提出された過去のプロジェクトの件数や概要に基づくものです。調査に協力していないベンダー、コンサルティング会社等のプロジェクトはカウントされていない点にご留意ください。

年別プロジェクト件数推移

まずは、年別のプロセスマイニングのプロジェクト件数の推移を見ましょう。以下のグラフからわかるように、2011年からの伸びがめざましく、2019年は100件に届こうとする勢いです。昨年2019年は75件と減少していますが、HSPIによれば今回の調査時期が2019年秋だったため、未完了プロジェクト分がレポートされたためだろうと述べています。2021年版で明らかになりますが、実際には、2019年の年間プロジェクト件数は100件を大きく超えていると思われます。

産業別プロジェクト件数

次に、2005-2019年の総プロジェクト件数551件の産業別の内訳を見てみましょう。最も多いのは、航空、自動車、建設、物流などの業界で21%。航空業界だと、エアバス、ルフトハンザ航空、また自動車業界では、BMW、PSI、フェラーリ、ポルシェなどがプロセスマイニングに取り組んでいることが知られています。

次いで、「銀行・保険」で17%。様々な手続きに係る社内業務が煩雑であることから、コスト削減余地が大きい業界だからでしょうか。

3位につけているのは「医療・医薬」で16%です。プロセスマイニングは、初期の頃、病院での医療行為(医療検査など)への適用事例が多く報告されていますが、近年は製薬会社での導入も進んでいます。

地域・国別プロジェクト件数

地域・国別のプロジェクトの構成比については簡潔に触れるに留めます。プロセスマイニング発祥の地、欧州が最も多く37.9%を占めています。次いで、米国5.0%、ブラジル4.0%、オーストラリア38%と続いています。

プロジェクト対象プロセス・目的

この調査資料は、DATABASE OF APPLICATIONとあるように、各プロジェクトについて、企業名(匿名の場合もある)、業種、プロジェクト概要が収録されています。簡潔なプロジェクト説明ですので詳細はもちろん推測するしかないのですが、価値ある事例集だと言えます。

2019年の最新事例をざっと眺めてみると、従来から多かった購買プロセス(P2P: Procure to Pay)、受注プロセス(O2C: Order to Cash)や、ヘルプデスクのITSMプロセス以外の多様なプロセスへと適用が広がっているのがわかります。また、RPAによる自動化を目的に、タスクレベル分析、すなわちタスクマイニングの事例もいくつか登場していることが特筆できるでしょう。

当調査資料(PDF)は、無料でダウンロードできます。

→ Process Mining: A DATABASE OF APPLICATIONS 2020 Edition (HSPI)