プロセスマイニングツール – 日本 Feb2020

Available process mining tools – Japan Feb2020

当記事では、2020年2月時点で、日本において利用可能なプロセスマイニングツールをご紹介します。

留意していただきたいことがあります。「ツールを利用する」ということだけであれば、日本に拠点や代理店がなかったとしても、直接ベンダーに連絡すればライセンス購入可能です。しかし、プロセスマイニングツールは高度で複雑なツールです。「ちょっとお試し」、だったとしても残念ながら、そう簡単には使いこなせません。

そもそも、業務プロセス改善を目的とする「プロセスマイニングソリューション」の観点からは、ツールの操作方法の最低限のトレーニングに加え、データ前処理、分析結果の解釈など、専門性の高い人材が不可欠です。

多くの企業では、自前の人材だけでプロセスマイニングを導入して成果を出すことは難しいと思いますので、日本企業に対して、ツール操作トレーニング、データ前処理支援などのプロフェッショナルサービスを併せて提供してくれる代理店なりコンサルティング会社の存在があるツールのみをここではご紹介します。

とういうわけで、現在日本において、比較検討が可能なプロセスマイニングツールは以下の4つです。なお、以下は公開された情報に基づいています。ここに掲載がなく、「当社のツールも日本での販売開始してます」「うちも代理店として扱ってるよ」という会社様はお知らせください。

セロニス(Celonis)

日本法人あり。アビームコンサルティングなど、大手コンサルティング会社とグローバルなアライアンス契約を結んでいる。日本語ローカライズ中。

→ Celonis

マイインベニオ(myInvenio) 

独占販売契約を結んでいるハートコアがライセンス販売に加え、トレーニングをはじめ、各種プロフェショナルサービスを提供。日本語ローカライズ済。

→ ハートコア株式会社(日本総代理店)

シグナビオ(Signavio)

イントラマート社が、Signavio Process Miningを活用した「DXアプローチメソッド」を提供。日本語ローカライズ状況不明。

→ 株式会社NTTデータ イントラマート(パートナー契約)

アビー・タイムライン(ABBYY Timeline)

OCR製品で知られるABBYY社が提供するプロセスマイニングツールです。日本語ローカライズ済。

→ ABBYY 日本

ラナ・プロセスマイニング(LANA Process Mining) 

リグリット・パートナーズが、ラナ・プロセスマイニングを活用した「オペレーションアセスメントサービス」を提供。日本語ローカライズ済。

→ 株式会社リグリット・パートナーズ(パートナー契約)

プロセスマイニングツール – グローバル Feb2020

Process mining tools – global Feb2020

現在、世界にはどんなプロセスマイニングツールがあるのか概観してみましょう。

2019年の時点で、大小合わせて30以上のプロセスマイニングツールが世界には存在していると考えられます。 米ITアドバイザリ企業Gartnerが2019年6月に発表した、『Gartner, Market Guide for Process Mining, Marc Kerremans, 17 Jun 2019』においては、代表的なベンダー・ツールが19種類挙げられています。

  • Apromore – Apromore
  • Celonis – Celonis Process Mining
  • Cognitive Technology – myInvenio
  • Everflow – Everflow
  • Fluxicon – Disco
  • INTEGRIS Explora
  • Lana Labs – LANA Process Mining – Magellanic
  • Logpickr – Logpickr Process Explorer 360
  • Mehrwerk AG – MEHERWERK ProcessMining (MPM)
  • Minit – Minit
  • Process Anaytics Factory – PAFnow
  • Process Mining Groups at TUE and RWTH – ProM, ProM Lite, RapidProm M, PM4Py
  • Process Gold – ProcessGold
  • Puzzle Data – ProDiscovery
  • QPR Software – QPR ProcesAnalyzer
  • Signavio – Signavio Process Intelligence
  • Software AG – ARIS Process Mining
  • StereoLOGIC – StereoLogic Process Analysis
  • TimelinePI – Process Intelligence Platform *2019年にABBYY社が買収

さて、これらのうち、グローバルなマーケティング&セールス活動に積極的と感じられ、Webサイトを通じて有益な情報を提供しているとして、私が日ごろからチェックしているのは、以下の10のツール・ベンダーです。

プロセスマイニングはまだ新しい市場であるため、ベンダー各社のライセンス販売本数や売上もほとんどが非公開、調査会社による市場シェア等は当てになりません。とはいえ、Celonisが市場リーダーであることは間違いなく、2番手にCognitive Technology、さらにLana Labs、ProcessGold、 Minitなどがそれぞれがんばっているという状況だと推測しています。

ユニークな存在としては、オープンソースのApromoreが挙げられます。同じくオープンソースのProMは主に学術的研究に利用されているのに対し、Apromoreは企業での活用も増えており、大規模ユーザーへの有償版の提供も始まっています。

なお、ProcessGoldは、2019年末、RPAベンダーのUiPathに買収され、同社の製品ラインアップのひとつとして販売される形となりました。このため、2020年3月に、「UiPath Process Mining」という名称に変更されています。

プロセスマイニングトレンド – グローバル 2005-2019

Process mining trend – global 2005-2019

日本では2019年初頭から本格展開が始まったプロセスマイニング。2020年は、本格導入する日本企業が続々と登場しそうな状況です。

さて、1990年代末に欧州・オランダで生まれたプロセスマイニングですが、2010年代から普及が本格化し、2018年以降はRPAに続くITトレンドとしてブームの様相を呈しています。

プロセスマイニング市場はまだまだ新しいため、市場全体を把握できるデータや資料がほとんど存在しません。そんな中、イタリアのITコンサルティング会社、「HSPI Management Consulting」が2018年から毎年発行している「Process Mining: A DATABASE OF APPLICATION」は、プロセスマイニングプロジェクト件数ベースでの概要を伝えてくれる貴重な調査資料です。

当記事では、上記調査資料の最新版、2020 Edition(2020年1月20日公開)の一部をご紹介します。なお、以下に示すデータは、世界各国のプロセスマイニングツールベンダーや、プロセスマイニング導入を支援するコンサルティング会社等に協力を仰ぎ、任意に提出された過去のプロジェクトの件数や概要に基づくものです。調査に協力していないベンダー、コンサルティング会社等のプロジェクトはカウントされていない点にご留意ください。

年別プロジェクト件数推移

まずは、年別のプロセスマイニングのプロジェクト件数の推移を見ましょう。以下のグラフからわかるように、2011年からの伸びがめざましく、2019年は100件に届こうとする勢いです。昨年2019年は75件と減少していますが、HSPIによれば今回の調査時期が2019年秋だったため、未完了プロジェクト分がレポートされたためだろうと述べています。2021年版で明らかになりますが、実際には、2019年の年間プロジェクト件数は100件を大きく超えていると思われます。

産業別プロジェクト件数

次に、2005-2019年の総プロジェクト件数551件の産業別の内訳を見てみましょう。最も多いのは、航空、自動車、建設、物流などの業界で21%。航空業界だと、エアバス、ルフトハンザ航空、また自動車業界では、BMW、PSI、フェラーリ、ポルシェなどがプロセスマイニングに取り組んでいることが知られています。

次いで、「銀行・保険」で17%。様々な手続きに係る社内業務が煩雑であることから、コスト削減余地が大きい業界だからでしょうか。

3位につけているのは「医療・医薬」で16%です。プロセスマイニングは、初期の頃、病院での医療行為(医療検査など)への適用事例が多く報告されていますが、近年は製薬会社での導入も進んでいます。

地域・国別プロジェクト件数

地域・国別のプロジェクトの構成比については簡潔に触れるに留めます。プロセスマイニング発祥の地、欧州が最も多く37.9%を占めています。次いで、米国5.0%、ブラジル4.0%、オーストラリア38%と続いています。

プロジェクト対象プロセス・目的

この調査資料は、DATABASE OF APPLICATIONとあるように、各プロジェクトについて、企業名(匿名の場合もある)、業種、プロジェクト概要が収録されています。簡潔なプロジェクト説明ですので詳細はもちろん推測するしかないのですが、価値ある事例集だと言えます。

2019年の最新事例をざっと眺めてみると、従来から多かった購買プロセス(P2P: Procure to Pay)、受注プロセス(O2C: Order to Cash)や、ヘルプデスクのITSMプロセス以外の多様なプロセスへと適用が広がっているのがわかります。また、RPAによる自動化を目的に、タスクレベル分析、すなわちタスクマイニングの事例もいくつか登場していることが特筆できるでしょう。

当調査資料(PDF)は、無料でダウンロードできます。

→ Process Mining: A DATABASE OF APPLICATIONS 2020 Edition (HSPI)

プロセスマイニングとは – What is process mining?

「プロセスマイニング」は、主に業務プロセスの「見える化」を行う分析手法です。分析対象としては、業務遂行に用いられる様々なシステム、具体的にはERPやCRM、SFA等の操作内容を詳細に記録したデータ、すなわち「イベントログ」を用います。

プロセスマイニングを行う主な目的は、プロセスに関わる様々な問題を発見することです。例えば価値を生まない無駄な手順や、非効率な活動、業務の滞留が発生しているボトルネックなどを特定し、是正することで、プロセスを開始してから完了するまでの所要時間を短縮、あるいは、プロセスに係るコスト削減を狙います。

プロセスマイニングを病気の治療にたとえるなら、改善すべき問題プロセスは、CoE(Center of Excellence)と呼ばれるプロセス改善のための専門病院に入院させます。そして、まずは治療対象プロセスの概要を把握するための問診を行います。

次に、X-ray(レントゲン)はCT検査としてのプロセスマイニングにより、業務プロセスを「見える化」します。見える化、すなわち業務プロセスを表すフローチャートを見ながら、非効率、ボトルネック、逸脱などの病巣を特定。

さらに詳細に病巣を検査したければ、PC操作ログを収集、分析するタスクマイニングを実行します。タスクマイニングは、内視鏡のようなものです。

病巣が特定され、また根本原因が判明したら、適切な治療方針・処方を行い、手術(改善施策)に着手します。無事、病巣、すなわち問題箇所が解消され、対象プロセスが最適化されたら、予後の経過を見るために定期検診=継続的モニタリングを行い、再発防止に努めるのです。