プロセスマイニングベンダー最新評価レポート2020 – Everest Group PEAK Matrix(R) 2020

evelest

Process Mining Products PEAK Matrix(R) Asessment 2020

ダラスに本社を置くコンサルティング&調査会社のEverest Groupは、2020年2月26日、主要なプロセスマイニングベンダー13社について、以下の2つの軸での市場ポジショニング(山脈に見立てているので「PEAK Matrix」)を発表しています。

→ 2021年版(2021年6月4日リリース)の速報はこちらから

横軸:Vision & Ability – Measures ability to deliver products successfully
製品開発ビジョンを示し、それに沿った製品を成功裡に提供できる能力

縦軸:Market Impact – Measures impact created in the market
市場に与えるインパクトの強さ

PEAK Matrixでは、競合製品をLeaders(リーダー)、Major Contenders(主要な競争相手)、Aspirant(上を狙う野望を持つ製品)の3つにカテゴライズします。Process Mining市場では、それぞれのカテゴリーに含まれる製品は次の通りです。

Leaders

  • Celonis
  • Software AG
  • UiPath(旧ProcessGold)

Major Contenders(アルファベット順)

  • ABBY Timeline
  • Apromore
  • LANA Labs
  • Logpickr
  • Minit
  • myInvenio
  • PAF now
  • QPR Software

Aspirants

  • Everflow
  • Puzzle Data

→Matrix図はこちら

市場リーダーのCelonisは既に社員数800人を抱え、大型の資金調達にも成功して「ユニコーン」としても認められる存在。そして、リーダーグループの一角を占めるSoftware AGは、「ARIS」のブランドで知られ、「ARIS Process Mining」の販売にも力を入れてきています。また、先ごろ買収したProcessGoldを「UiPath Process Mining」と名称を変え、UiPathが強みを持つRPAを含んだトータルソリューションとして提案力を強化しています。

Major Contender、すなわちリーダーグループに闘いを挑んでいる主要な競争ベンダーはまさに群雄割拠という状況。なお、私が把握している限りですが、日本においてなんらか連絡先があるのは、ABBYY Timeline、LANA Lab、myInvenioの3つだけです。

Aspirantsは、虎視眈々と上を目指してがんばっているベンダーというところでしょうか、韓国で独自開発され、韓国企業での導入実績を増やしているPuzzle Dataが取り上げられているところが興味深いです。

Gatnerの市場ポジショニングマップである「Magic Quadrant」のプロセスマイニング市場版がまだ発表されていない状況( 2020年2月)で、PEAK Matrixは、市場を概観できる良いレポートですね。

レポート詳細は有料となるようですが以下から入手可能です。

Process Mining – Technology Vendor Landscape with Products PEAK Matrix(R) Assessment 2020


ビジネス戦略視点からのプロセスマイニングの価値

value discipline model

Value of process mining from business strategy perspective
Engilsh follows Japanese. Before proofread.

「事業戦略」の視点から、プロセスマイニングはどのような価値があるのかを考えてみましょう。

今回、戦略の枠組みとして援用するのは、”THE DISCIPLINE OF MARKET LEADERS”(邦題:ナンバーワン企業の法則)において、著者のM. Treacy and F. Wiersemaが示した価値基準のモデル(Value Discipline Model)です。

同書の中で彼らは、企業は、すべての顧客に対してあらゆることを提供しようとするのではなく、それぞれの企業が独自の価値を提供できるところに集中すべきだと説きました。そして、戦略の方向性として以下の価値基準モデルに示された3つの方向性があると述べています。

1 PRODUCT LEADERSHIP 

 ‐ 製品の競争優位性を高めて、ベストプロダクトを提供する

2 CUSTOMER INTIMACY

 ‐ 顧客との密接な関係を築いて、ベストサービス(対応)を提供する

3 OPERATIONAL EXCELLENCE

 ‐ 業務の効率性を高めて、ベストプライスを提示する

Value Discipline Model
Source: Discipline of Market Leaders, M.Treacy, F.Wilseama

プロダクトリーダーシップとは、競合製品にはない独自の特徴を提示することで、競争優位性を高めるアプローチであり、機能に加えてデザインとしての魅力を高めたiPod, iPhone, iPadなどを次々と投入してきたAppleが典型例です。

カスタマーインティマシーとは、顧客対応を丁寧に行い、強い結びつきを形成・維持しようとするものであり、リッツカールトンホテルなどが挙げられます。

オペレーショナルエクセレンスとは、効率性を最大限に高めることにより低コストを実現し、顧客に対して競争力のある価格を提示するアプローチです。はハンバーガー業界では「マクドナルド」がこのアプローチを主として追求していると言えます。

さて、この3つの基本戦略は、今から25年前の1995年に提唱されたものですが、考え方としては依然として有効であると言えるでしょう。これら3つのすべてを同時に追求することが可能な企業があったとしても、世界中で数えるほどでしょう。そえぞれ膨大な経営資源の投入と優れたビジネスオペレーションが求められるからです。

とはいえ、様々な分野における飛躍的なテクノロジーの進展、またデジタル化の進展によって留意すべきことは、まず「プロダクトリーダーシップ」、すなわち、自社製品の差別化を図り続けることは極めて難しくなったということです。

たとえば、自動車業界でいえば、ガソリンカーの時代は、エンジンにしろ変速機にしろ、それぞれの部品に高度な技術が要求され、模倣は簡単ではありませんでした。ところが、電動自動車においては多くのパーツがモジュール化され、基本性能において違いを生み出すのは困難になっています。

また、「カスタマーインティマシー」においても、ネットを通じて、メーカーと消費者が直接やりとりをすることが可能となり、また消費行動の多くがオンラインで行われるようになった結果、個々の顧客に関する膨大なデータを蓄積、分析することできめ細やかな対応が可能になりつつあります。

「カスタマーインティマシー」の究極は、ワン・ツー・メニイ(One to Many)ではなく、「ワン・ツー・ワン」の実現だといえますが、デジタル技術によってこれが限りなく現実的なものとなりつつあります。

したがって、カスタマーインティマシーにおいても、多くの企業が同じ水準のサービスを提供できるようになると思われ、独自の価値としての輝きを十分に発揮できない可能性があります。

しかし、「オペレーショナルエクセレンス」はどうでしょうか。ある程度はシステム化・自動化できるとしても、高度化・複雑化した顧客ニーズに対応して相応のカスタマーインティマシーを維持しつつ、運営コストを適正に保ち、利幅を確保するのはますます難しくなっているのではないでしょうか?

オペレーショナルエクセレンスの追求とは結局のところ、エンド・ツー・エンドの業務プロセスの最適設計であり、日々の業務プロセスを確実に実行することです。

すなわち、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)をいかに徹底して行うかにオペレーショナルエクセレンス実現の鍵があります。そして、プロセスマイニングは、BPMにおいて、データに基づく現状プロセスの把握と、非効率性やボトルネックの特定に力を発揮します。さらに、理想プロセスの開発のためのシミュレーション、および日々の業務プロセスのリアルタイムのモニタリングにも活用できます。

こう考えると、価値基準モデルの中でも、特に「オペレーショナルエクセレンス」を追求する企業において、「プロセスマイニング」はより高い価値を持つと言えるのではないかと思います。

そもそも、どんな戦略であれ、その実行は業務プロセスに落とし込まれ、当該業務プロセスが想定どおりに実行されることが求められますから、プロセスマイニングの価値は、オペレーショナルエクセレンスの追求だけに限定されるわけではないことは付け加えておきたいところです。


Let’s consider the value of process mining from the viewpoint of “business strategy”.

This time, the framework of the strategy used is “Value Discipline Model,” which was shown by author M. Treacy and F. Wiersema in “THE DISCIPLINE OF MARKET LEADERS”.

In the book, they argued that businesses should focus on where each company can provide unique value, rather than trying to provide everything to every customer. They state that there are three strategic directions as shown in the value model below.

1 PRODUCT LEADERSHIP

Providing the best products by enhancing the competitive advantage of a product.

2 CUSTOMER INTIMACY

-Build close relationships with customers and provide the best service.

3 OPERATIONAL EXCELLENCE

-Improve business efficiency and offer the best price.

Product leadership is an approach that enhances the competitive advantage by presenting unique features that are not found in competing products. Apple is a typical example for Product leadership. In addition to superior functions, iPod, iPhone, iPad, etc., which have increased the attractiveness of outer design, have been introduced one after another by them.

Customer intimacy is an “intimate” service that treats customers with tailored care and strengthen and maintains strong ties, such as the Ritz-Carlton Hotel.

Operational excellence is an approach that maximizes efficiency, lowers costs, and offers customers a competitive price. McDonald’s is one of them who are primarily pursuing this approach in the hamburger industry.

By the way, these three basic strategies were proposed in 1995, 25 years ago, but they can still be said to be effective as a way of thinking. Since each of these requires huge investment of management resources and excellent business operations.

However, the dramatic advances in various technology and especially the advancement of digitalization are important to note first that it has become extremely difficult to “product leadership”, that is, to continue to differentiate our products.

For example, in the automobile industry, in the era of gasoline cars, proprietary technology was required for each component, whether it was an engine or a transmission, and imitating was not so easy. However, many parts are modularized in electric vehicles, making it difficult to make a difference in basic performance.

In “Customer Intimacy,” manufacturers and consumers can directly interact with each other through the Internet, and as a result of the fact that many consumer behaviors take place online, vast amounts of data on individual customers Accumulation and analysis can be performed, and detailed responses are becoming possible.

The ultimate in “customer intimacy” is not “one-to-many” but “one-to-one”, but digital technology is making it as realistic as possible. Therefore, many companies will also be able to provide the same level of service in customer intimacy, and may not be able to fully demonstrate their unique value.

But what about “operational excellence”? Even if it can be systematized and automated to some extent, it will become increasingly difficult to keep operating costs appropriate and maintain margins while maintaining appropriate customer intimacy in response to sophisticated and complex customer needs.

The pursuit of operational excellence is, after all, the optimal design of end-to-end business processes and ensuring the execution of daily business processes.

In other words, how thoroughly business process management (BPM) is performed is the key to achieving operational excellence. And, process mining helps BPM to understand the current process based on data and identify inefficiencies and bottlenecks. It can also be used for simulations to develop ideal processes and for real-time monitoring of daily business processes.

Given this, I think that process mining can be said to have higher value among companies that pursue operational excellence among the value-based models.

I need to add that in the first place, the execution of any strategy should break down into business processes, and it is required that the business processes be executed as expected, so the value of process mining is not limited only to the pursuit of operational excellence.

プロセスマイニングvsプロセスインテリジェンス

business intelligence process intelligence process mining

Process Mining vs Process Intelligence
English follows Japanese. Before proofread.

プロセスマイニングについて書かれた資料やベンダー情報では、「プロセスインテリジェンス」という言葉がしばしば登場します。

「プロセスインテリジェンス」がどのようなものか、ベンダーによってその定義は異なるようですが、明確な説明がないため、プロセスマイニングとどう違うのか混乱されている方も多いと思われます。

当記事では、「プロセスマイニング」と「プロセスインテリジェンス」の関係性や違いについて、「ビジネスインテリジェンス」も含め、わかりやすさを優先して解説したいと思います。

実のところ、両者の関係性は明白で、2011年に発行された「プロセスマイニングマニフェスト」に以下の図が掲載されています。

ご覧の通り、一番大きな枠として「ビジネスインテリジェンス」があり、その内側に「プロセスインテリジェンス」、さらにその内側に「プロセスマイニング」があるという入れ子構造になっています。

まずビジネスインテリジェンスですが、文字通り、ビジネスに関わるあらゆるデータ・情報を分析対象として収集し、分析するものです。いわゆるBIツールを用いて分析することが多いですが、典型的には、売上や利益などの財務データをベースに、年度別、月別、週別などの推移を見たり、エリア別や製品別にドリルダウンして、売上や利益に貢献しているエリアや製品カテゴリ、逆に足を引っ張っている要因がどこかを掘り下げて分析する。これがビジネスインテリジェンスです。

ビジネスインテリジェンスのうち、特に業務プロセスに関わるデータ・情報に絞って各種分析を行うのが「プロセスインテリジェンス」です。さらに、プロセスインテリジェンスの中で、業務の流れ、すなわち「コントロールフロー」を核とする分析手法が「プロセスマイニング」です。

このようにみると、プロセスマイニングは大きくはビジネスインテリジェンスに含まれるため、ビジネスインテリジェンスで代替できるのではないか、とおっしゃる方もいます。

しかし、プロセスマイニングの基本機能である「(自動的な)プロセス発見」には、特殊なアルゴリズムが必要であり、BIツールには、このアルゴリズムは通常、実装されていません。また、BI機能に基づいて、プロセスマイニング用のアルゴリズムをゼロベースで組むのは現実的には不可能です。(初歩的なものは組めたとしても、それによって、再現されたプロセスモデルの信頼性は低いものでしょう)

したがって、プロセスマイニングを実行したければ、専用のプロセスマイニングツールの採用が必要になり、BIで代替することはできません。

では、プロセスインテリジェンスがカバーする領域はどこになるのでしょうか?

プロセスマイニングツールでは、特殊なアルゴリズムを用いて行うプロセス発見以外に、様々な統計数値を算出し、様々な表・グラフで表現する機能が備わっています。

例えば、分析対象としたプロセスに含まれる案件数、プロセスの開始から終了までのスループット(サイクルタイム)や、各アクティビティごとの処理数、処理時間、あるアクティビティから別のアクティビティまでの移行時間、すなわち待ち時間などです。そして、これらの数値に関して平均、最大・最小、中央値、標準偏差などを併せて確認することが可能です。

こうした統計数値の算出は、シンプルな四則演算ベースで可能であり、特殊なアルゴリズムは言うまでもなく必要ありません。BIでも簡単に実行できますが、これこそ「プロセスインテリジェンス」がカバーしている領域です。

プロセスマイニングによる分析においては、アルゴリズムを通じて発見された「プロセスモデル」(as isプロセスモデル)を起点に、様々なバリエーションを検証する「バリアント分析」や、理想プロセス(to beプロセス)との比較分析、すなわち適合性検査などを行います。

さらに、処理時間がKPIを超えている問題アクティビティや、待ち時間が長くなっているボトルネックを特定していきますが、ここで重要になってくるのが処理件数や処理時間、待ち時間などの基本統計数値です。

すなわち、プロセスマイニングでは、プロセスモデルと併せてプロセスインテリジェンスの数値を様々な視点で掘り下げることを行うわけです。

主要なプロセスマイニングツールでは、プロセスモデルを作成するアルゴリズムは当然として、プロセスインテリジェンス機能、特に、様々な数値をビジュアルに表現するダッシュボード機能が標準で装備されています。この意味では、現在のプロセスマイニングツールは、「プロセスインテリジェンスツール」と言い換えても全く支障がないと言えます。


The term “Process Intelligence” is often used in process mining documentation and vendor information.

The definition of “Process Intelligence” varies from vendor to vendor, but there is no clear definition, therefere many people are confused about how it differs from process mining.

In this article, I would like to explain the relationship and differences between “process mining” and “Process Intelligence”, explaining “Business Intelligence” at the same time.

In fact, the relationship between the two is clear, as illustrated in the “process mining manifest” published in 2011.

As you can see, the largest frame is the “Business Intelligence”, inside which is the “Process Intelligence”, and inside which is the “process mining”. They are nesting relationships.

Business intelligence is literally the collection and analysis of all the business related data and information. The analysis is often conducted using so-called BI tools, typically starting from financial data such as sales and profits, we look at trends by fiscal year, month, and week, and drill down by area and product to delve into the areas and product categories that contribute to sales and profits, as well as the factors that are hindering them. This is business intelligence.

“Process Intelligence” is a type of business intelligence analysis that focuses on data and information related to business processes. Furthermore, “process mining” is an analytical method based on the flow of business process, or “Control Flow” in process intelligence.

Some people say that since process mining is basically included in business intelligence, can it be replaced by business intelligence?

However, the basic function of process mining, “(automatic) Process Discovery” requires a special algorithm that BI tools typically do not equipped with. And it is not practical to build algorithms for process mining based on BI capabilities from scratch (Even if you could build an elementary one, the process model that you reproduced would be unreliable.)

Therefore, if you want to do process mining, you need to use a dedicated process mining tool, which BI cannot replace.

So where does process intelligence cover?

In addition to process discovery using special algorithms, the Process Mining Tool calculates various statistical values and presents them in various tables and graphs.

For example, the number of issues involved in the process being analyzed, the throughput from start to finish of the process (cycle time), the number of activities per activity, the processing time, the transition time (path time) from one activity to another, or the wait time. The average, maximum and minimum, median, and standard deviation of these values can also be checked.

These statistics can be calculated on the basis of simple arithmetic operations without the need for special algorithms. It’s easy to do with BI. That’s where “Process Intelligence” covers.

In the process mining analysis, based on the “process model” (as is process model) discovered through the algorithm, various variations are verified “variant analysis”, and comparative analysis with ideal processes (to be Process), that is, conformance checking, is performed.

In addition, identify problem activities where processing time exceeds KPIs and bottlenecks where waiting time is too long. Basic statistics such as number of processes, processing time, and waiting time are important.

In other words, process mining involves drilling down into process intelligence figures from various perspectives in conjunction with process models.

The major process mining tools have standard process intelligence capabilities with dashboards that visually represent various numbers, as well as algorithms for creating process models. In this sense, it is safe to say that the current process mining tools are “process intelligence tool”.

プロセスマイニング入門(2)プロセスマイニングの歴史

history

Introduction to Process Mining (2) History of process mining
English follows Japanese. Before proofread.

プロセスマイニングは、2019年に20歳の誕生日を迎えたばかりの若いテクノロジーです。今回は、プロセスマイニングの歴史について簡単にご紹介します。

プロセスマイニングの生みの親は、”God Father of Process Mining”と呼ばれる、オランダ人のWil van der Aalst氏(RWTH Archen大学教授、以下Aalst氏)です。

コンピュータサイエンティストとして、世界的に著名な Aalst氏の主要専門分野は、情報システム(IT)、ワークフローマネジメント、プロセスマイニングであり、Archen大学では、Process and Data Scienceグループを率いています。

Aalst氏は1990年代後半、オランダのEindhoven University of Technology(TUe、以下TUe)においてワークフロー、ワークフローマネジメントを研究するなかで、現状の業務プロセスを把握するための既存の手法、すなわちインタビューやワークショップでは、主観的で断片的な情報に基づく不完全なプロセスモデルしか描けないことに問題を感じていました。

一方で、1990年代は、SAP社のERPを始めとする業務システムが普及しつつあり、企業・組織の様々な部門における業務の多くがITシステム上で行われれるようになっていました。

そこで、Aalst氏は、ITシステムに記録されている操作履歴、すなわちイベントログから、業務プロセスが再現可能ではないかというアイディアを着想しました。Aalst氏によれば、「プロセスマイニング」という言葉を初めて使用したのは、1998年に書いた研究計画書とのこと。

そして、Aalst氏はプロセスマイニングの研究に1999年から本格的に取り組み始めます。したがって、1999年がプロセスマイニングの誕生年であり、生誕の地はオランダ、ということになります。2000年代初頭からは、Aalst氏が在籍していたTUeを中心に学術研究が活発に行われてきました。

イベントログからプロセスモデルを再現するためのアルゴリズムとしては、まずは「アルファアルゴリズム」が用いられました。その後、より信頼性の高いプロセスモデルを表現するために、「ヒューリスティックマイナー」や「インダクティブマイナー」など、様々なアルゴリズムが開発されています。

2004年には、オープンソースのプロセスマイニングツール、「ProM」の最初のバージョンが開発されています。ProMは現在もバージョンアップを重ねており、主に大学での研究に用いられています。研究に用いられるだけあって、最先端のアルゴリズムや新たな機能がプラグインとして次々と提供されている点がProMの特徴です。

現在は存在していませんが、初めてのプロセスマイニングの会社、「Futura社」が2007年に設立されました。2010年前後からはプロセスマイニングを専門とする会社が次々と誕生しています。

具体的には、2009年にProcessGoldが設立されています。また、Aalst氏の下でプロセスマイニングを研究し、修士号を取得したAnne Rozinat氏は、卒業後、2010年にFluxiconを設立、プロセスマイニングツール、「Disco」を開発しています。2011年には、現在業界をリードするCeonisが誕生しています。

2010年以降、新たなプロセスマイニングツールが次々と市場に登場するなか、欧州においてプロセスマイニングの認知度・理解度を高めることに最も貢献したのは、Aalst氏以外には、「Process Mining Camp」という年次イベントを2012年から開催してきたFluxiconのAnne氏だと言えるでしょう。

Aalst氏は、2011年にプロセスマイニングに関する初めての著作『Process Mining: Data Science』(現在は2016年版)を出版、また2014年にはCouseraで当著作と同じタイトルのMOOC、すなわちeラーニングコースを開発、提供を開始しています。当eラーニングコースは、これまでに世界中で数万人が受講しており、プロセスマイニングの基本的な知識・ノウハウを広めることに寄与しています。

欧州においてプロセスマイニングが本格普及期に入ったのは、2015年ころからです。2018年以降はRPAに続く、大きな成長分野として注目が高まりました。2019年には、国際的なプロセスマイニングコンファレンス、「International Conference on Process Mining 2019」がドイツのArchenで初めて開催されました。2020年には、イタリアのPaudaで同コンファレンスが開催予定です。

欧州以外のエリアでは、ProMと同じオープンソースのプロセスマイニングツール「Apromore」が開発されたUniversity of melbourneの研究者を中心にオーストラリアでの取り組みが活発です。

米国、および日本ではともに、2019年からプロセスマイニングが本格的に紹介されはじめました。日本では、Impress社が主催した「プロセスマイニングコンファレンス2019」が2019年9月に開催され、約500人の参加者を集めて、関心の高さを示しました。

アジア全般ではまだまだ取り組みはこれからというところですが、韓国ではAalst氏の下で学んだ研究者が開発した「ProDiscovery」を有するPuzzle data社が、韓国企業でのプロセスマイニング導入実績を積み重ねています。

日本の場合、現在市場での存在感が大きいのは、CelonisとmyInvenioの2つのツールに限られますが、今後様々なプロセスマイニングツールが日本に紹介され市場が拡大していくことは間違いないと思われます。


Process mining is a young technology that just turned 20 in 2019. Here’s a brief history of process mining.

The creator of process mining is Dutch researcher, Wil van der Aalst, Professor, RWTH Archen University, being called as “God Father of Process Mining”.

As a computer scientist, world-renowned Aalst’s key areas of expertise include information systems, workflow management and process mining, and at Archen University, leads the Process and Data Science Group.

In the late 1990s, while studying workflow and workflow management at Eindhoven University of Technology (TUe) in the Netherlands, Aalst was challenged by the fact that existing methods for understanding current business processes — interviews and workshops — could only draw incomplete process models based on subjective and fragmented information.

On the other hand, in the 1990s, business systems such as SAP ’ s ERP became widespread, and many of the business operations in various departments of companies and organizations were conducted on IT systems.

So Prof. Aalst came up with the idea that business processes could be replicated from the operational history, or event log, recorded in IT systems. According to Aalst, the term “process mining” was first used in a research proposal he wrote in 1998.

Aalst began working on process mining in earnest in 1999. Therefore, 1999 is the year of the birth of process mining, and Holland is the birthplace of process mining. Since the early 2000s, academic research has been actively carried out by TUe and other European universities.

The first algorithm used to reconstruct the process model from the event log was “Alpha Algorithm”. Since then, various algorithms such as “Heuristic Miner” and “Inductive Miner” have been developed to represent more reliable process models.

In 2004, the first version of “ProM” an open source process mining tool, was developed. ProM is still being upgraded and is mainly used for research. ProM is unique in that it is used for research, and the latest algorithms and new functions are provided as plug-ins one after another.

The first process mining company that no longer exists, “Futura” was founded in 2007. Since around 2010, companies specializing in process mining have emerged one after another.

ProcessGold, which has been acquired by UiPath in October 2019, was established in 2009. After graduating, Anne Rozinat, who studied process mining under Aalst and received a master’s degree, founded Fluxicon in 2010 to develop a process mining tool called “Disco”. In 2011, the current industry leader, Ceonis, was born.

With new process mining tools on the market since 2010, it’s Anne of Fluxicon who’s done the most to raise awareness and understanding of process mining in Europe by holding “Process Mining Camp” every year since 2012 besides Prof. Aalst.

Aalst published his first work on process mining in 2011, ‘Process Mining: Data Science in Action’ (The current version is 2016.), and in 2014 developed and began offering MOOC with the same title of the book, an e-learning course, at Cousera. Tens of thousands of people around the world have taken this e-learning course, helping to spread the basic knowledge and know-how of process mining.

In Europe, process mining started becoming widely used around 2015. Since 2018, it has gained attention as a major growth area following RPA. In 2019, the first international Process Mining Conference, “International Conference on Process Mining 2019” was held in Archen, Germany. In 2020, the conference will be held in Pauda, Italy.

Outside of Europe, Australian practice is centered around researchers at the University of Merlbourne, which developed the open source process mining tool “Apromore”.

Process mining has been practically introduced in both the U.S. and Japan since 2019. In Japan, the “Process Mining Conference 2019” hosted by Impress attracted 500 participants and showed great interest.

In Korea, Puzzle data, which has a “ProDiscovery” developed by a researcher who studied under Aalst, has a track record of introducing process mining in Korean companies.

In the case of Japan, although the two tools Celonis and myInvenio have a strong presence in the market at present, it is certain that various process mining tools will be introduced to Japan and the market will expand.

根本原因追求のための2つの手法

fishbone analysis

Two approaches to dig into the root-causes of a process.

新しいITツールが登場すると、多くの人は過大な期待を抱きがちですが、プロセスマイニングに対してもまた、夢のような万能ツールと思い込む方がいらっしゃるようです。

プロセスマイニングは分析手法に過ぎず、また分析を通じて手にするものは、ありのままの現状であり、その現状から見えてくる現象としての問題点のみです。

具体的にお話しすると、分析対象となるプロセスに関わるイベントログを抽出し、プロセスマイニングツールで分析することにより、事実ベースでの現状プロセス(as isプロセス)がフローチャートとして可視化されます。

そして、プロセスの各手順となるアクティビティの処理回数や処理時間、待ち時間などが算出されることから、プロセスのどこの業務量負荷が高くなっているか、どこに時間がかかりすぎているか、どこにボトルネックがあるか、という問題の所在を特定できます。

しかし、なぜそのような問題が発生しているかという原因はデータの中にはありません。さらに分析を進めて、ある担当者の業務においてボトルネックが発生しやすい、といった形で問題の発生源を絞り込んでいくことまではできますが、相変わらず「原因」が明らかになるわけではないのです。

そもそも、何らかの問題が発生しているとき、それはかなり根深いところに原因があったり、また複合的な原因によることも多く、問題と原因が一対一で結び付くとは限らないのです。

したがって、プロセスマイニングによる分析を進めるうえでもっとも重要でかつ難度が高いのが「根本原因分析」です。なぜ最も重要かと言うと、プロセスの改善は対処療法ではなく、根本原因を解消することが最も効果的であるからです。

たとえば、顧客対応プロセスにおいてボトルネックが発生しており、対応の遅れにより顧客満足度が下がっているとして、ボトルネック解消のために、単純にスタッフを増員すればいいでしょうか。スタッフ増員によってボトルネックは一時的に解消できたとしても、コスト増をもたらし、業績的には利益低下につながってしまうのです。

しかし、もし、根本原因を突き止めることができ、スタッフ増員なしでボトルネックが解消できたとしたらどうでしょう。顧客満足度が改善されると同時に、利益を圧迫することもありません。

とういわけで、プロセスマイニングにおいては、「根本原因分析」に一番力を入れるべきなのですが、当記事では数十年前から知られる根本原因分析に役立つ2つの枠組みをご紹介しましょう。業務分析やビジネスコンサルティング手法を学ばれたことがある方にとってはお馴染みだと思います。

1 5Why分析

問題がある場合に、「なぜ、そうなっているの」という問いを5回繰り返していく方法です。これはトヨタ流の問題解決法としてよく知られています。5Whyだからといって、必ず5回繰り返さなければならないというものではなく、3回のなぜで根本原因=「真因」にたどり着くこともあるでしょうし、逆に7回繰り返さないとたどりつけないほど根深いところ真因がある場合もあるでしょう。「なぜなぜ分析」と呼ぶ方もいらっしゃいます。

2 フィッシュボーン分析

フィッシュボーン分析は原因の構造化を図る手法であり、見た目が魚の骨に似ていることからこのように呼ばれています。「特性要因図」や、日本の品質管理(QC:Quality Control)の父、石川馨氏が考案したことから「石川ダイヤグラム」とも呼ばれます。

フィッシュボーン分析は、QC7つ道具のひとつとしても知られており、特に、製造業の生産現場での品質管理のために利用されてきました。問題を起こしている原因が複数存在する場合に、原因を大きく分類していくことで構造化を図り、問題解決のためにどこからどのように改善施策を打てばいいかを検討するために有効です。

プロセスマイニングとデータマイニング・AI、BPMとの関係

process mining and data mining and BPM

How process mining can relate to data mining, AI and BPM.

プロセスマイニングと密接な関係がある隣接分野があります。ひとつはデータマイニング・AI、もうひとつはBPM(Business Process Management)です。

今回は、どのように関係があるのかを簡単にご説明しましょう。

まずは「データマイニング・AI」とは何かから説明します。データマイニングは、基本的にビッグデータを対象とした分析手法であり、その主な目的はものごとの因果関係や典型的なパターンのような「法則性」を発見して、様々な意思決定に役立てることです。

例えば、各地の気温、湿度などの天候情報を大量に収集し、データマイニングでそのデータを分析することで、どのような状況において晴天になりやすいのか、それとも雨天になりやすいのかの予測式がつくられ、天気予報に活用されています。

データマイニングでは、数十年前から活用されてきた「多変量解析」の手法、例えば、回帰分析や、クラスター分析、決定木分析に加え、近年は主にニューラルネットワークによるディープラーニングが飛躍的な進歩を遂げ、ものごとを判別したり、予測する精度が大きく向上しています。一般に、これらの分析手法のことは「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」と呼ばれますが、AIはデータマイニングにおいて頻繁に利用される手法なので、当記事では「データマイニング・AI」と一括りにしています。

さて、データマイニングはあらゆる分野のあらゆるビッグデータを分析対象としますが、基本的に「プロセス」を対象とはしてきませんでした。ある瞬間、すなわちスナップショット的な静的なデータを抽出して、要約したり、分類したり、因果関係を見出してきたりしたのです。

一方、プロセスマイニングは、文字通り、時系列のひとつながりになった動的なデータから、プロセスの流れを描き出すこと、すなわち「プロセスモデル」を作成することが基本にあります。もちろん、プロセス処理件数や処理時間など、プロセスに関わる静的な各種統計量も併せて算出する点は、データマイニングと共通しています。

こう考えると、データマイニングとプロセスマイニングは、分析手法としては兄弟分のようなものです。(どちらにも「マイニング」という言葉が含まれていますし)

ただ、プロセスマイニングを主体に考えると、プロセスに関わる様々な分析を深めていくうえで、データマイニング、AIの手法が応用されています。例えば、現在処理中の案件(ランニングケース)の終了までのリードタイムを推測するためには、データマイニングにおける「予測分析」が採用されています。

それ以外にも、必要に応じて、クラスター分析や決定木分析などが活用可能であり、今後も、プロセスマイニングツールとしての分析の幅や精度を高めるためにデータマイニングの手法がプロセスマイニングに取り入れられていくと考えられます。

では次に、BPM(BPM)について考えてみましょう。BPMはシンプルにいえば、プロセスを改善することを目的として、プロセスの現状を分析し、問題点を解消するto beプロセスを設計し、現場に展開・監視を行う一連の活動です。

このBPMの活動のうち、とりわけ「現状分析」において、プロセスマイニングの基本アプローチのひとつ、「プロセス発見」は役立ちますし、その後の設計、展開、監視においても、プロセスマイニングが提供できる「適合性検査」、「プロセス強化」のアプローチはBPMにとって強力な武器となりえます。

このように、プロセスマイニングとデータマイニング・AI、BPMはお互いに補完しあえる関係にあると言えます。プロセスマイニングのゴッドファーザー、Wil van der Aalst教授は、「プロセスマイニングは、データマイニングとBPMをつなぐ橋である」と述べられていますが、まさに、BPMの取り組みにおいて、プロセスに特化したデータマイニングとしての「プロセスマイニング」は大きな役割を果たしていくと思われます。

プロセスマイニング入門(1)プロセスマイニングとは?

data analysis

Introduction to Process Mining (1) What is process mining?

プロセスマイニングは、大きな枠組みで考えるなら、ひとつは「業務分析(Business Analysis)」のための分析手法であると言うことができるでしょう。

業務分析という言葉自体は、現在の業務に関する様々な情報やデータを収集し、分析して、現状の仕事の進め方や組織などについて、仕組みや因果関係などを把握する活動を意味します。すなわち、業務に関する「現状把握」のための分析手法です。

プロセスマイニングは、業務分析が対象とする幅広い業務の側面のうち、「業務プロセス」を主たる分析対象としています。プロセスマイニングは元々は、「BPM(Business Process Management)」、すなわち、「ビジネスプロセスマネジメント」の枠組みにおいて、現状(as is)の業務プロセスを明らかにするための分析手法として誕生したからです。

さて、業務分析では一般に、業務に関わる情報やデータの収集は、主に、各種システム仕様書やマニュアルなどの業務関連書類の閲覧、現場担当者へのヒアリングやワークショップ、ストップウオッチ、ビデオなどの録音・録画機器などを利用した観察調査などを通じて行います。

一方、プロセスマイニングが分析するのは、「イベントログ」と呼ばれるデジタルデータです。イベントログは、業務遂行に利用される各種ITシステムに記録されているシステムの操作履歴データの総称です。

具体的には、資材調達に関わるシステムであれば、「調達要求(申請)」や、「調達申請の承認」、「見積の依頼」といった節目(マイルストーン)となる操作が、年月日時分などのタイムスタンプともに記録されています。

こうした記録は、システム操作における重要な「イベント」と呼ぶことができるので「イベントログ」と総称されているわけですが、プロセスマイニングでは、各種ITシステムから、イベントログを抽出して分析対象とします。

イベントログデータの抽出元となるのは、典型的には、SAP、ORACLEなどの「ERP(Enterprise Resource Planning)」や、CRMシステムです。こうしたシステムから抽出されるイベントログデータの容量は、時に数十~数百ギガとなることから、プロセスマイニングは「ビッグデータ分析」の一種であるとも言えます。(もちろん、プロセスマイニングが分析するイベントログの規模は、必ずしもビッグデータとは限りませんが、ビッグデータを扱う場合には、分析処理スピードなどテクニカルな問題が浮上します)

また、「プロセスマイニング」という言葉から連想できるように、「データマイニング」の一種であると考えるのもいいでしょう。ただし、およびデータマイニングが、あらゆるビッグデータを取り扱う汎用的な分析手法なのに対し、プロセスマイニングは、プロセスに焦点を絞っている点が異なります。

さて、プロセスマイニングが近年大きな注目を集めている最も大きな理由は、業務プロセスの把握、言い換えると「可視化(見える化)」のために、ヒアリングやワークショップといった断片的で主観的な情報ではなく、ITシステムから抽出されたイベントログを分析することにより、ファクトに基づく客観的な業務プロセスの可視化が行える点が挙げられます。

とりわけ、タイムスタンプを取り込むことから、あるプロセスの開始から終了までの総所要時間=スループットは何日何時間何分なのか、また、「調達要求」や「見積依頼」などの個々のアクティビティ(プロセスマイニングの分析においては、イベントは「アクティビティ」と呼びます)の処理時間は何日、何分なのか、アクティビティとアクティビティの間の移行時間=待ち時間は何日、何分なのか、といった業務効率を測定するための数値が計算できる点が、業務改善の手がかりを把握するために有効です。

従来の業務分析では、ヒアリングやワークショップを通じての「事情聴取」であり、業務の遂行手順は把握できるとしても、スループットやアクティビティ単位の処理時間や、アクティビティ間の待ち時間は押えられません。もしこうした時間を測定するとしたらストップウォッチを手にしての観察調査を行わざるを得ず、大変な手間とコストがかかります。しかも、調査件数はせいぜい数十件~数百件のサンプル調査になります。

プロセスマイニングでは、ITシステムから、数十万件~数百万件のイベントログをごっそり取り出すため、実質的な全数調査であり、極めて現実に近い現状把握が可能になるというわけです。

プロセスマイニングの分析手法は、まずはイベントログに基づく業務プロセスの可視化、より具体的に言えば、業務の流れをフローチャートとして描画することからスタートしていますが、研究が進展するにつれ様々な分析手法が開発され、より有益な知見を得ることができるようになっています。

シックスシグマとプロセスマイニング

dmaic & process mining

Six Sigma approach should be used with process mining
English follows Japanese. Before proofread.

率直に言えば、プロセスマイニングは、現状の業務を把握するための業務分析のひとつに過ぎません。

もちろん、従来の現場担当者へのヒアリングや観察調査よりもはるかに正確に、かつ効率的に業務分析を行うことができるのがプロセスマイニングであり、だからこそ近年、急速に注目が高まっています。

企業・組織においてプロセスマイニングが活用される場面は、多くはBPR(Business Process Re-engineering)、あるいは業務プロセス改善(Business Process Improvement)の取り組みであり、プロジェクトでしょう。

したがって、分析手法としてのプロセスマイニングの手順を理解しておくだけでなく、BPR、あるいは業務プロセス改善の手順やフレームワークを理解し、活用することが重要です。

BPR、業務プロセス改善のアプローチに様々なものがありますが、シックスシグマの方法論を土台として採用するのがベストと考えます。

シックスシグマは、トヨタ生産システムの考え方を元に、モトローラが開発した業務プロセス改善手法です。つまり、日本で生まれたフレームワークが多く含まれています。

さて、シックスシグマにおける業務プロセス改善プロジェクトの進め方は「DMAIC」として知られています。以下の5つの活動フェーズの頭文字を取ったものです。

  • Define(定義)
  • Measure(測定
  • Analyze(分析
  • Improve(改善)
  • Control(定着・管理)

それぞれの活動フェーズとプロセスマイニングの関係について簡単に説明します。

Define(定義)

まず、改善した対象のプロセス、また想定される問題・課題を明確化します。基本的には、残業多く従業員が疲弊している、納期遅れなどで顧客からのクレームが増えているなど、現象として把握できる問題を起点として、それがどのプロセスのどこに問題がありそうかの当たりをつけて、改善対象としていきます。

ここは、プロセスマイニングプロジェクトの「スコーピング」、すなわち「分析計画立案」の前提となるフェーズです。

Measure(測定)

現状を把握するために必要なデータ・情報を集めます。前述したように、従来は、現場担当者へのヒアリング、観察調査、また関係者を一同に集めたワークショップを開催して、現行業務プロセスの棚卸しを行うのが定番です。

プロセスマイニングでは、上記のような情報収集方法に加えて、ITシステム上での業務遂行履歴データである「イベントログ」を抽出し、分析対象とします。

プロセスマイニングから得られたプロセスモデル(as isプロセス)は、事実ベースの正確な業務プロセスの再現を可能としますが、システム以外で行われている業務は当然ながら把握できませんので、ヒアリングや観察調査による補完が不可欠です。

Analyze(分析)

前フェーズで得られた情報・データに基づき様々な視点で分析を遂行します。

プロセスマイニングを採用したプロジェクトでは、まずイベントログからのプロセスモデルを元に、業務遂行に時間がかかりすぎている、非効率な箇所や、業務の滞留が発生しているボトルネックを容易に発見できるため、そうした現象としての問題が特定できた箇所について、ヒアリングや現場調査の分析を掘り下げることが可能となります。

プロセスマイニングを採用しない場合、現場ヒアリングは「なにをどのようにやっていますか(What、How)」という問いから始めなければなりませんが、プロセスモデルを見ながらであれば、「なぜこうなるのでしょうか(Why)」の問いが行えるので根本原因の追求が行いやすいと言えます。

Improve(改善)

現象として見える問題・課題(非効率性やボトルネック等)の根本原因が解明できたら、具体的な改善施策を練り、改善活動を行うことになります。実行段階ですから、プロセスマイニングはいったん舞台袖に引っ込むことになりますが、次のControl(定着・管理)に備えて、着々とイベントログは蓄積されています。

Control(定着・管理)

最後は、改善された業務プロセスの定着と管理です。以前より優れた業務プロセスを開発でき、現場に展開したとしても、そのままほおっておくと、再び旧来のやり方に戻ってしまう、ということが起こりえます。

したがって、新しいプロセスが定着するよう、継続的な監視と適切な指導が必要です。ここで、プロセスマイニングを活用すれば、ITシステム上で日々遂行される操作履歴データをリアルタイムで抽出・分析し、現在遂行中の案件についての逸脱や問題個所をすばやく発見、アラートを出すことが可能となりますので、新業務プロセスの確実な定着を促進できるのです。


Frankly, process mining is just a business analysis to get a handle on what’s going on.

Of course, process mining is able to conduct business analysis much more accurately and efficiently than conventional interviews and observational surveys with field staff, and for this reason, it has rapidly gained attention in recent years.

In many cases, process mining is used in BPR(business process re-engineering) or business process improvement projects.

Therefore, it is important not only to understand the procedure of process mining as an analytical method, but also to understand and utilize the procedure and framework of BPR or business process improvement.

There are various approaches to BPR and business process improvement, but I think it is best to adopt Six Sigma’s methodology as a foundation.

Six Sigma is a business process improvement method developed by Motorola based on the Toyota Production System concept. That is, it includes many frameworks that originated in Japan.

The process improvement project at Six Sigma is known as the “DMAIC”. It is an acronym for the following five phases of activity.

  • Define
  • Measure
  • Analyze
  • Improve
  • Control

A brief description of the relationship between each activity phase and process mining.

Define

First, identify the processes that need to be improved, as well as potential problems and issues. Basically, problems that can be identified as phenomena, such as excessive overtime and exhausted employees, or an increase in customer complaints due to delivery delays, are identified and identified as problems in which processes are likely to have problems, and are targeted for improvement.

This is the prerequisite phase of the process mining project “scoping” or “analysis planning”.

Measure

Collect the data and information needed to understand the current situation. As mentioned earlier, it has traditionally been customary to hold interviews with field staff, conduct observation surveys, and hold workshops with all concerned parties to take inventory of current business processes.

In process mining, in addition to the information gathering methods described above, “Event Log”, which is historical data of business performance on IT systems, is extracted and analyzed.

The process model (as is Process) obtained from process mining enables accurate reproduction of fact-based business processes. However, it is of course impossible to grasp the operations that are being conducted outside of the system. Therefore, complementation through interviews and observational surveys is essential.

Analyze

We conduct analysis from various perspectives based on information and data obtained in the previous phase.

In the case of a project using process mining, based on a process model derived from an event log, it is possible to easily find bottlenecks where work is taking too long, inefficient, or stagnating, so that it is possible to delve into the analysis of interviews and field investigations where such problems have been identified.

If process mining is not adopted, field interviews must begin with the question, “What are you doing and how are you doing it? (What, How)” However, if you look at the process model, you can ask the question, “Why does this happen? (Why)” making it easier to pursue the root cause.

Improve

Once the root causes of problems and issues that appear to be phenomena (Inefficiency, bottlenecks, etc.) have been clarified, specific improvement measures will be formulated and improvement activities will be carried out. Since it is the execution stage, the process mining is retracted to the stage, but the event log is steadily accumulated for the next Control (establishment and management).

Control

The last is to establish and manage improved business processes. You can develop better business processes and deploy them in the field, but if you leave them as they are, you can go back to the old ways.

Therefore, continuous monitoring and appropriate guidance are needed to ensure that new processes take root. By utilizing process mining, it is possible to extract and analyze in real time operation history data that is executed on an IT system on a daily basis, and to quickly find deviations and problem points in an ongoing project and issue alerts, thereby ensuring that new business processes are implemented.

プロセスマイニングの基本原理

clean eventlog sample

Very basic principle of process mining algorithm

プロセスマイニングを初めて知った方から、

「イベントログから、どうやってプロセスの流れを示すフローチャートが作成できるのですか?」

という質問をいただくことがあります。

イベントログからフローチャート、すなわち「プロセスモデル」を作成する「アルゴリズム」は極めて技術的な内容であるため、最も基本となるポイントのみを解説したいと思います。

より深く、正確に理解したい方は、Aalst先生の著作、『Process Mining: Data Science in Action』、およびeラーニング講座(Coursera)をご覧ください。

さて、プロセスマイニングツールによってプロセスモデルを作成するために必要なイベントログのデータ項目は、以下の3つです。

  • 案件ID
  • アクティビティ
  • タイムスタンプ

案件IDは、たとえば経理部門での請求書処理プロセスの場合だと、1枚1枚の請求書番号が該当します。所定のプロセスはどの請求書についてののものかを特定するために必要なので案件IDと呼ばれます。

アクティビティは、プロセスを構成する手順を示します。請求書処理であれば、たとえば、「請求書受領」を起点として、「OCR読み込み」、「OCR変換データ確認」、「会計システムへのデータ登録」、「発注金額との突合せ確認」、「上長への支払い承認依頼」といったそれぞれの手順です。

タイムスタンプは、上記各手順が実行されたタイミングを「年月日時分」などの形式で記録されたデータを会計システムから抽出します。

つまり、これら3つのデータ項目には、ある個別の案件に対して、どのようなアクティビティ(操作)がいつ行われたかという情報が含まれているわけです。

プロセスマイニングツールに投入可能な、整備済のイベントログサンプル

ここからが問題です。この3つの項目が含まれたイベントログから、どうやってプロセスの流れを再現するのでしょうか。単純化して言えば、プロセスの流れとしては、アクテイビティの時間的前後関係しか考慮していません。つまり、アクテビティ「A」と「B」の2つがあったとして、AがBよりも早い時間に行われていればA→Bと続く流れになるという、非常に明白なロジックです。

ただし、たくさんの案件を複雑な手順で行っている現実の業務においては、様々な処理のパターンが起こりえます。

わかりやすいように、タイムスタンプを省いて、以下のような4つの案件が含まれたイベントログからのフローチャート作成を考えてみましょう。

CASE_1 (A,B,C)
CASE_2 (A,B,D)
CASE_3 (A,E,C)
CASE_4 (A,B,C,B,C)

ここで、アルファベットは各アクテイビティであり、(A,B,C)のログは、A→B→Cという時間的順番で行われたことを意味します。

まず、CASE_1のログからフローチャートを描きます。

シンプルですね。

次に、CASE_1に加えてCASE_2も考慮します。

A→B→Cだけでなく、A→B→Dというパタンも存在したことがわかったので、BからCとDに分岐するフローチャートが描かれました。

さらに、CASE_1、CASE_2、CASE_3の3つの案件を考慮したフローチャートです。

Aに続くのはBだけでなく、Eが続く手順もあるのでこのようなフローになります。

最後に、CASE_1からCASE_4までのすべてを考慮したプロセスモデルは以下の通りです。

B→Cだけでなく、C→Bと戻る手順も存在していることがわかります。手戻り発生です。

以上の例では4案件だけでしたが、実際の業務プロセス分析では数万件、数十万件の案件のイベントログに基づいて、上記のようなフローチャートを再構成していくわけです。

非常に複雑なプロセスの場合、すべての案件のパリエーションを表すと、ごちゃごちゃしたスパゲッティのような図になります。

そこで、発生頻度の少ないバリエーションを非表示化していき、頻度の多いパターンだけに絞り込んでいけば、典型的な業務手順が見えてきます。

最も発生頻度の高いプロセスモデルのことを「ハッピープロセス」と呼ぶ場合があります。ただ、典型的なプロセスではあるものの、だからといって必ずしも優れた、理想的なプロセスとは限らないことを留意しておく必要があります。

以上、イベントログからプロセスモデルを作成する基本的な考え方について単純化して説明してまいりました。Aalst先生の著作やeラーニング講座によれば、ベントログからフローチャートを作成するアルゴリズムは、非常に難しい課題を抱えていることがわかります。

アルゴリズム自体、アルファ―マイナー、ヒューリスティックマイナー、インダクティブマイナーなど、何種類もあります。そして、用いるアルゴリズムによって、同じイベントログであったとしても描かれるフローチャートの形は異なってくるのです。

商用ツールでは、各社とも最も現実の手順を反映できると考える独自のアルゴリズムをそれぞれ提供していますが、仮に同じイベントログだったとしても、ツールによって提示されるプロセスモデルが異なっている場合があるということを頭に留めておく必要があるでしょう。

プロセスマイニングの不都合な真実(2)

steps from analysis to solution

Hidden truth of process mining(2)
English follows Japanese. Before proofread.

新しいITツールが登場したとき、何でも解決する万能ツールであるかのような幻想を抱く方がいらっしゃいます。

当然ながら、万能ツールは存在しませんし、そもそも、単なる道具ですから、ユーザーの使いこなしのスキルのほうがより重要なわけです。切れ味が最高に素晴らしい包丁があったとしても、包丁の扱いに慣れていなければ、食材をうまく調理できないのはおわかりになると思います。

プロセスマイニングツールも、もちろん万能ではなく単なる分析ツールです。そして極めて大事なことは、分析結果の中に「どうすればよいか」という解決策はないということです。それどころか、「なぜこんなに非効率なのか」、「なぜボトルネックが発生しているのか」という原因も、分析結果からはわかりません。

プロセスマイニングツールに限らず、BIなどの分析ツールによって発見できるのは、「問題の所在」にすぎません。イベントログから描き出されたフロー図、すなわち「as isプロセスモデル」を様々な切り口から分析することで、業務手順のどこに問題が所在するのか、容易に特定することはできます。

しかし、なぜ、そこで問題が発生しているのか、は分析結果は教えてくれないのです。問題の所在を深堀りすることで、問題を発生させている要因を絞り込んでいくことはできます。

たとえば、受注プロセス(O2C)において、受注から納期までのスループット(全体リードタイム)が期待よりも長すぎるという事実を把握し、それは「問題である」と評価したとします。そこで、プロセスマイニングツールを使って、さらに製品別、顧客別などで分析していくことで、どの製品を受注した場合に、あるいはどの顧客の場合に納期が長くなりがちなのか、といったことを突き止めることは可能です。

これは大変有益な情報ではありますが、依然として「なぜ、そうなのか」はわからないのです。「なぜ(Why)」を明らかにしたければ、いや、Whyを追及しなければ、有効な解決策は導けないのですが、現場担当者にヒアリングしたり、観察調査したりする必要があります。

プロセスマイニングを行う究極の目的は分析を行うことではなく、業務プロセスの改善やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進といった経営課題の解決のためでしょう。

ただ、分析手法としてのプロセスマイニングの直接的な目的は、「根本原因の解明」にあります。分析を実行し、問題個所を特定できたからといってすぐに改善施策を考えてはいけません。

たとえば、あるプロセスがやたら時間がかかりすぎている、つまり非効率だという問題が発見できたとします。じゃあ、RPAを導入して自動化すれば効率的になるよね、と安易な改善施策に飛びつく方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そもそも、なんでそんなに時間がかかっているのか、現場担当者に聞いてみたら、RPA以前に、予定な手順を省くことで簡単に時間が短縮できた、ということがありえます。

ですから、分析ツールが答えを教えてくれる、という幻想を捨て、分析結果を得たあとは、現場に立ち戻り、泥臭く根本原因の解明に取り組まなければならないのです。根本原因がわかってこそ、対処療法ではない、有効な改善施策の立案が可能となります。

楽しておいしい果実は手に入りません。


As new IT tools emerge, some people have the illusion that they are a universal solution.

Of course, there’s no one-size-fits-all tool, and since it’s just a tool in the first place, user skills are more important. Even if you have a kitchen knife with the best sharpness, you’ll know that if you’re not used to using a kitchen knife, you can’t cook ingredients well.

Process mining tools are, of course, more than one-size-fits-all; they’re just analytical tools. Most importantly, there is no “What should I do?” solution in the analysis. In fact, the results of the analysis do not explain why “Why is it so inefficient?” or “Why bottlenecks?”.

What can be discovered not only by process mining tools, but also by analytical tools such as BI is nothing more than “location of the problem”. By analyzing the flow diagram drawn from the event log, that is, the “as is process model” from various angles, it is easy to identify where the problem lies in the business procedure.

But they don’t tell us why there’s a problem. By digging deeper into the problem, you can narrow down what is causing the problem.

For example, in the sales order process (O2C), you know that the throughput (overall lead time) from the sales order to the delivery date is longer than expected, and you rate it as “matter”. Using process mining tools, we can analyze by product, customer, etc. to find out which products or customers tend to take longer to deliver.

This is very useful information, but we still don’t know the “Why is that?”. If you don’t ask why, you won’t be able to come up with an effective solution, but you need to interview the person in charge of the site and do some observational research.

The ultimate purpose of process mining is not to conduct analysis, but to solve management issues such as improving business processes and promoting digital transformation (DX).

However, the direct purpose of process mining as an analytical method is to “elucidation of the underlying cause”. We should not immediately consider measures to improve the situation just because we have identified the problem areas through analysis.

For example, suppose you discover that a process is taking too long, or inefficient. So, I think there are people who would rush to take easy improvement measures, thinking that it would be more efficient if we introduced RPA and automated it.

In the first place, I asked a field representative why it took so long, and before the RPA, it was easy to save time by skipping the scheduled steps.

So once you get the results, you have to go back and try to figure out the root causes. Only when the root cause is known, it is possible to plan effective improvement measures, not superficial therapy.

プロセスマイニングとデジタルツイン

process mining and digital twin

Process mining can materialize a digital twin of an organization.
English follows Japanese. Before proofread.

「デジタルツイン」は、純粋なテクノロジーとしてはビジネスに適用範囲が限定されるものではありませんが、プロセスマイニングにおいては、「Digital twin of an organization」の略称です。

「Digital twin of an organization」は直訳すれば、「組織のデジタルな双子(片割れ)」となります。

一方、現実の職場、仕事は「アナログな双子(片割れ)」です。アナログな現場では、多くのスタッフが協働しながら業務を行っています。ただ、業務の多くがITシステムで遂行されるようになったことから業務内容がデジタルな足跡(Digital footprint)として残されています。

デジタルな足跡、すなわち「イベントログ」をプロセスマイニングで分析することにより、今まで見えなかった業務内容を可視化することができるようになりました。業務プロセスの流れはフローチャートとして”発見”できます。

プロセスマイニングによって、案件処理数や、アクティビティ単位の「処理時間(サービスタイム)」や前工程から次工程までの移行時間、すなわち「待ち時間(ウェイティングタイム)」なども算出可能であり、業務負荷の高い箇所、業務が滞留しているボトルネックの特定が容易になりました。

また、誰がどんな業務を担当しているのか、誰と誰が業務を通じて連携し、協働しているのかも明確に把握可能です。

重要な点は、ぼんやりとしかわかっていなかった業務の流れや処理件数、所要時間、協働関係などを事実(fact)に基づいて明確化できることです。プロセスマイニングによって見える化された各種のフローチャートや図表は、まさに、組織の在り方、業務内容をデジタルデータに基づいて再現した「デジタルツイン」だと言えます。

デジタルツインを実現するメリットは、現実をファクトベースで正確に把握できることだけではありません。デジタルツインであれば、一部の工程を削除したり変更したらどうなるか、あるいは一部のプロセスをRPAで自動化したら全体にどのような影響が起こるのか、シミュレーションが行えます。

すなわち、どのように業務プロセスを改善すれば、リードタイム短縮化、コスト削減、ボトルネックは解消できるのかを検証したうえで、アナログツイン、つまり実際の現場、現実のプロセスに展開することが可能です。

さらには、ITシステム上に記録され続けているイベントログをリアルタイムでプロセスマイニングツールに流し込めば、現場の業務遂行状況をデジタルツインにおいて監視し、問題点の即時是正が行えます。

以上でおわかりのように、プロセスマイニングは、デジタルツイン実現のために必要不可欠のツール、ソリューションです。


“Digital twin” is not limited to business as a pure technology, but in process mining, it stands for “Digital twin of an organization”.

The literal translation of “Digital twin of an organization” is “one digital half of twins of an organization “.

On the other hand, the other half is “Analog half of twins of an organization” where employees work together in the analog field. However, since much of the work is now performed by IT systems, the work remains as a digital footprints.

By analyzing digital footprints, or “Event Log” through process mining, it has become possible to visualize previously unseen business operations. The flow of business processes can be “discovered” as a flowchart.

With process mining, we can calculate the number of cases processed, the “Processing time (service time)” per activity, and the transition time from the previous process to the next process, i.e., the “Wait Time (waiting time)”, etc., making it easier to identify areas with high workload and bottlenecks with stagnant business.

In addition, it is possible to clearly understand who is in charge of what kind of work and who is collaborating and collaborating with each other through work.

It is important to be able to clarify, based on the facts, the flow of work, the number of processes, the time required, and the functions involved in collaboration that were only vaguely understood. The flow charts and diagrams visualized by process mining are truly “digital twin” that reproduce the way an organization works and the contents of business operations based on digital data.

The benefits of a digital twin are not just accurate fact-based reality. With a digital twin, you can simulate what happens if you delete or change some of the processes, or if you automate some of the processes with the RPA and see the overall impact.

In other words, after examining how to improve business processes to reduce lead time, reduce costs, and eliminate bottlenecks, it is possible to apply the method to an analog twin, that is, a real process.

In addition, by flowing the event log continuously recorded on the IT system into the process mining tool in real time, the work execution situation in the field can be monitored in the digital twin, and the problem can be corrected immediately.

As you can see, process mining is an essential tool and solution for achieving a digital twin.

プロセスマイニングの不都合な真実(1)

deta preparation overview

Hidden truth of process mining(1)
English follows Japanese Before proofread.

最近、業務改革の切り札としてプロセスマイニングに対する関心がますます高まっています。多くの人は、プロセスマイニングのデモで示される「プロセスモデル」、すなわち、イベントログから自動的に作成された業務フローチャート図を目にして「おおっ、すごい」と感嘆の声をあげます。

業務プロセスを可視化するための従来のアプローチであるヒアリングやワークショップの大変さと比較して、ITシステムから抽出したデータから簡単にすばやく業務フロー図が描けるのはすばらしい、と皆さんお感じになるわけですね。

ただ、何事にも明るい側面(Bright side)と、暗い側面(Shadow side)があるものです。プロセスマイニングツールを操作して、今まで見えなかった業務プロセスの流れや業務と担当者との関係が図表でわかりやすく示されるところは「明るい側面」です。一方、導入の心理的ハードルを上げてしまうために、あまり語られない「暗い側面」があります。

暗い側面は実は2つあります。プロセスマイニングツールを操作して実際の分析を行う段階の前に必要な業務である「データ前処理」、そして実際の分析の後に行う「分析結果の評価・解釈」の2つのフェーズです。

プロセスマイニングツールを操作して、ビジュアルな画面を切り替えるのは簡単で楽しいものです。一方、データ前処理、および分析結果の評価・解釈は多大な労力を要します。しかし、プロセスマイニングを通じて業務改革を成し遂げるためには避けて通るわけにはいかないフェーズ。このことは、プロセスマイニングの不都合な真実と言えるでしょう。

今回は、まず、プロセスマイニング分析の前工程である「データ前処理」について解説します。

プロセスマイニングの対象とする業務プロセスを決定したら、その業務プロセスを遂行しているITシステムから、必要なデータを抽出するわけですが、抽出されたデータ(生データ:トランザクションデータ)をそのままプロセスマイニングツールにアップロードすることはできません。

というのも、プロセスマイニングツールにアップロードするファイルは、ノイズなどが除去され、所定のデータ項目が揃ったクリーンなファイルに一本化する必要があるからです。

一般に、ITシステム内のDBから抽出されたデータは年度単位でファイルが分かれていたり、トランザクションファイルとマスターファイルが分かれていたり、データの抜け漏れ(ブランク)や文字化けがあったりと、要するに汚れたデータ、ダーティデータです。

このような複数(しばしば数十本)のダーティデータをクリーンにし1つのデータファイル=クリーンなイベントログに加工する作業が「データ前処理」です。

データ前処理をどのように行うかの説明は別記事で取り上げますが、例えば、ブランクが存在するデータについては一括削除したり、なんらかの補正値を入力したりします。こうした前処理作業を数十万~数百万件の生データに対して行うため、基本的にはデータ前処理のためのツール「ETL」を用います。

ETLはExtract, Tranform, Loadの頭文字を取ったものですが、文字通りデータ抽出からデータ変換(加工)、他のツールへのアップロード、さらには分析機能も持つ多機能なツールですが、プロセスマイニングにおいてはもっぱらデータ変換(加工)に活用します。

私がお勧めしているETLは、「KNIME(ナイム)」というオープンソースのツールです。日本語ローカライズはされていませんが、なんせ無料ですし、直感的な操作を行うことができる非常に優れたツールです。

KNIMEであれば、様々なデータ加工をノンプログラミングで行うことができるため、エンジニアでなくともデータ前処理を実行可能です。もちろん、エンジニアの方がデータ前処理を行うのであれば、SQL、Python、Rなど得意なスクリプトでデータ加工処理を行えば、KNIMEより高速に処理ができるでしょう。

データ前処理の基本的な流れ

データマイニングプロジェクトでは、しばしば、データ前処理にプロジェクト工数の8割ほどが費やされると言われますが、プロセスマイニングプロジェクトでも同様に、データ前処理がプロジェクト成功の鍵を握っています。きちんとしたデータが準備されてこそ、プロセスマイニング分析、また分析結果の評価・解釈が意味のあるものになるからです。


Recently, there has been increasing interest in process mining as a trump card for business innovation. Many people marvel at the “process model” shown in the process mining demos, or business flow charts automatically created from event logs, saying, “Oh, my God.”.

In contrast to the challenges of traditional approaches to visualizing business processes such as interviews and workshops, you find it great to be able to draw business flow diagrams easily and quickly from data extracted from IT systems.

But everything has a bright side (Bright side) and a dark side (Shadow side). When you operate the process mining tool, the flow of business processes and the relationship between business and the person in charge, which has not been seen until now, are shown clearly in the diagram, is “bright side”. On the other hand, there is a “dark side” that is rarely talked about because it raises the psychological hurdle of introduction.

There are actually two dark sides. There are 2 phases: “data preprocessing” which is the work required before the stage of operating the process mining tool and performing the actual analysis, and “Evaluation and interpretation of analysis results” which is performed after the actual analysis.

It’s easy and fun to navigate through process mining tools and switch between visual screens. On the other hand, data preprocessing and the evaluation and interpretation of analysis results require a great deal of labor. However, this is a phase that cannot be avoided in order to achieve business reform through process mining. This is an inconvenient truth of process mining.

In this article, I will first explain “data preprocessing” which is a pre-process of process mining analysis.

Once a business process to be subjected to process mining is determined, necessary data is extracted from the IT system executing the business process, but the extracted data (raw data: transaction data) cannot be directly uploaded to the process mining tool.

This is because the files to be uploaded to the process mining tool need to be unified into a clean file with all the necessary data items.

In general, the data extracted from the DB in the IT system is dirty data or dirty data, for example, the file is divided by the year, the transaction file and the master file are separated, and there are omissions of data (Blank) and garbled characters.

“data preprocessing” is the process of cleaning such multiple (Often dozens) dirty data and processing them into 1 data file = clean event log.

We’ll discuss how to do this in a separate article, but for example, you might want to delete all data with blanks or enter some correction. To perform these preprocessing operations on 100,000 to 1 million raw data items, a data preprocessing tool “ETL” is basically used.

ETL, which stands for Extract, Tranform, and Load, is a multi-functional tool that literally extracts data, transforms it (Machining), uploads it to other tools, and even provides analysis capabilities, but is used exclusively for data transformation (Machining) in process mining.

The ETL tool I recommend is an open source one called “KNIME”. It’s not localized in Japanese, but it’s free and very intuitive.

KNIME can perform various data processing without programming, so even non-engineers can perform data preprocessing. Of course, if your engineers preprocess data, they can do it faster than KNIME by using SQL, Python, R, or other scripts that you’re good at.

In data mining projects, it is often said that data preprocessing consumes about 80% of the project effort. Process mining analysis and the evaluation and interpretation of analysis results become meaningful only when proper data is prepared.

プロセスマイニング入門(0)目次

Introduction to Process Mining (0) Table of Content

プロセスマイニングの歴史から理論的背景、世界・日本のトレンド、事例、導入の具体的手順など幅広く解説していきます。現在の構成(目次案)は以下の通りです。お楽しみに!

プロセスマイニングとは? – What is process mining

プロセスマイニングの歴史 – History of process mining

プロセスマイニングが必要とされるビジネス環境 – Business environments which necessitates process mining

プロセスマイニングの効用 – What process mining can deliver

プロセスマイニングの適用範囲 – Application areas of process mining

プロセスマイニングと関連ソリューション – Process mining and related solutions

イベントログとは – What is a event log

プロセスマイニングのアルゴリズム – Process mining algorithm

プロセスマイニングの4つのアプローチ – Four approaches of process mining

プロセスディスカバリー – Process discovery

コンフォーマンスチェッキング – Conformance checking

プロセスエンハンスメント – Process enhancement

運用サポート – Operational support

プロセスマイニング事例 – Use cases

プロセスマイニングプロジェクトの進め方 – How to manage a process mining project

プロセスマイニングツール – Process mining tools

プロセスマイニングの展望 – Outlook for the future of process mining

プロセスマイニングツール比較検討のための「機能チェックリスト」

function checklist preview

Checklist for functionalities of process mining tool

現在、世界各国でプロセスマイニングに取り組む企業・組織がどんどん増えています。

プロセスマイニングはビッグデータ分析であり、イベントログから、業務手順を再現したフローチャート(プロセスモデル)を作成するためには特殊なアルゴリズムが必要です。このため、一般的なBIツールではなく、プロセスマイニングツールを利用することが求められます。

今のところ、世界には30以上のプロセスマイニングツールがあり、うち、ガートナーのマーケットガイド(2019年版)では、代表的なプロセスマイニングツールとして19個のベンダー・ツールが紹介されています。

日本においては、「データ前処理支援」など、プロフェショナルサービスなどを含めて利用可能なプロセスマイニングツールは現在数種に限定されます。しかし、日本のプロセスマイニング市場も立ち上がりつつあることから、様々なベンダーが日本でのツール提供を開始することでしょう。

さて、プロセスマイニングツール導入を考えているすユーザー企業として悩ましいのは、どのツールがどんな機能を備えているかを確認し、比較検討することが大変だということでしょう。

プロセスマイニング・イニシアティブでは、できるだけ中立的な立場で各種ツールの比較検討をお手伝いできますが、まずは検討対象のプロセスマイニングツールがどんな機能をどの程度備えているかを記述するための「プロセスマイニングツール機能チェックリスト」を無料提供しています。当チェックリストをぜひ欲しいという方は、お問い合わせフォームから、「機能チェックリスト希望」と記入してご連絡ください。折り返し、PDF版をメール添付にてお送りします。

機能チェックリストに掲載している機能項目は以下の通りです。

プロセス発見 – Process Discovery
 頻度分析 – Frequency Analysis
 パフォーマンス分析 – Performance Analysis
 バリアント分析 – Variant Analysis
 フィルター – Filtering
 比較分析 – Comparison Analysis
適合性検査 – Conformance Checking
基本統計量表示 – Process Intelligence(Basic Statistics)
KPI設定 – KPI setting
カスタマイズダッシュボード作成 – Dashboard customization
運用サポート – Operational support
BPMNモデル変換・作成 – BPMN modeling
シミュレーション – Simulation

プロセスマイニング関連ツールの位置づけを整理整頓する!

work place analytics overview in english

Positioning of process mining-related tools from Workplace Analytics perspective
English follows Japanese. Before proofread.

「プロセスマイニング」は1990年代末に誕生し、昨年、20歳の誕生日を迎えたばかりの新しい分析手法ですが、2019年には新たに「タスクマイニング」という概念が登場しました。

当記事では、プロセスマイニング、タスクマイニングに、これらのソリューションと類似のソリューションである「SIEM:Security Information and Event Management」を含めて、狙いや位置づけの違いを整理整頓してみたいと思います。

まず、プロセスマイニングとタスクマイニングの違いについて。簡単に説明するなら、分析対象となるデータが異なります。

プロセスマイニングは、ERPやCRM、SFAなどの業務システムに記録・蓄積されたイベントログ(トランザクションデータ)を抽出したものが分析対象です。記録されているデータは、「購買申請」、「購買承認」など、システムの「送信」や「更新」ボタンを押下したタイミングの活動が基本で、業務の「節目(マイルストーン)」だけの粒度の粗いものです。

一方、タスクマイニングは、従業員が各自操作するPC上での詳細な操作、具体的には、アプリの起動、ファイルオープン、マウスクリックやコピー&ペーストなどが記録された「PC操作ログ」が分析対象となります。業務システムから抽出されたイベントログと比べると、これ以上分解できない「アトミック(原子的)」な詳細データであり、タスクレベルでの分析が可能です。なお、こうしたPC操作ログは、どこかに記録されているものではないため、分析対象となるPCに、センサー、あるいはエージェントと呼ばれるソフトをインストールして、能動的にPC操作をデータとして捕捉、収集サーバに蓄積する仕組みが必要となります。

プロセスマイニング、タスクマイニングに隣接した類似ソリューションに「SIEM」があります。これは、セキュリティ機器、ネットワーク機器、およびサーバに残されている各種ログを分析することで、サイバーアタック、データ漏洩などのセキュリティに関わる問題を発見する、また、IT機器の資産としての管理を行う、といったことが目的になります。

さて、これらのソリューションは、基本的に「職場(ワークプレイス)」で発生しているデータを分析することから、大きくは「ワークプレイスアナリティクス(Workplace Analytics)」という枠組みに入れることができるでしょう。

それでは、ワークプレイスアナリティクスの枠組みで、プロセスマイニング、タスクマイニング、SIEM、およびそれぞれのキーソリューションを位置付けてみましょう。(下図参照)

図の下部の両矢印あたりをご覧ください。プロセスマイニングは「プロセス改善志向」であり、一方、「SIEM」は、「リスク回避・管理志向」です。タスクマイニングその中間に位置しています。なぜなら、タスクマイニングでは従業員の日々の業務内容全体を把握できるため、勤怠管理にも活用できるからです。(プロセスマイニングは、業務システム上で行われた操作だけのデータが分析対象のため、一日の業務全体を把握することはできません)

また、プロセスマイニングとタスクマイニングは、「プロセスインテリジェンス」という枠組みで囲むことができますが、SIEMは、「プロセス」を分析対象とはしていないため、含まれません。

そして、プロセスマイニングは、企業全体のプロセス改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)の視点からのアプローチに有効であることから「DX志向」、一方、タスクマイニングは、最終的にはタスクレベルでの自動化であるRPAを目的とすることが多いため、「RPA志向」と言えるでしょう。

では、それぞれのカテゴリーのキーソリューションを見ていきましょう。現時点(2020年2月)において、日本のプロセスマイニング市場のキープレーヤーは、CelonoisとmyInvenioの2つ。両ツールとも豊富な機能と優れた操作性を備えたエンタープライズソリューションであり、大企業を中心に導入企業が増えています。そしてつい最近、両ツールとも「タスクマイニング機能」を追加しています。業務システムからのイベントログデータだけでなく、PC操作ログからのフローチャート(プロセスモデル)も作成可能とすることで、タスクレベルでの自動化を目指すRPA化に必要な分析ニーズに対応したものだと言えるでしょう。

タスクマイニングのカテゴリーでは、myInvenioの日本総代理店であるハートコアが、「Heartcore Task Mining」を提供。また、銀行業界を中心に導入実績のある「MeeCap」は、ERPなどからのイベントログも分析するプロセスマイニング機能へと拡張を始めています。

SIEMカテゴリーでは、Splunkや、Skysea Viewが知られていますが、SPlunkが、プロセスのフローチャート機能を追加してきています。ただし、イベントログを取り込んだ分析までは行えないようです。

以上、ワークプレイスアナリティクスの枠組みでプロセスマイニング、タスクマイニング、SIEMの目的や位置づけを整理整頓してみました。

職場の業務改革のための各種ソリューション比較検討の参考になれば幸いです。


“Process mining” was born in the late 1990s and last year turned 20 years old. In 2019, a new concept called “task mining” appeared.

In this article, I would like to organize and sort out the differences in purpose and positioning, including “SIEM: Security Information and Event Management”, which is a similar solution to process mining and task mining.

First, the difference between process mining and task mining. In simple terms, the data to be analyzed is different.

Process mining analyzes the event logs (transaction data) recorded and accumulated in business systems such as ERP, CRM, and SFA. The recorded data is based on activities such as “purchase request” and “purchase approval” when the “send” or “update” button of the system is pressed, and the granularity of only the “milestone” of the business Is a rough thing.

On the other hand, task mining analyzes the detailed operations on PCs that employees operate individually, specifically, the “PC operation log” that records application launches, file opens, mouse clicks, copy and paste, etc. Eligible. Compared to the event log extracted from the business system, it is “atomic” detailed data that cannot be further decomposed and can be analyzed at the task level. Since these PC operation logs are not recorded anywhere, install software called sensors or agents on the PC to be analyzed and actively capture and collect PC operations as data. A mechanism to accumulate on the server is required.

“SIEM” is a similar solution adjacent to process mining and task mining. It analyzes security logs, network devices, and various logs remaining on servers to find security-related issues such as cyber attacks and data leaks, and manages IT devices as assets. And so on.

Now, since these solutions basically analyze data generated in the “workplace”, they can be broadly put into the framework of “Workplace Analytics”.

Now let’s position process mining, task mining, SIEM, and their key solutions within the framework of workplace analytics. (See the figure below)

Look around the double arrow at the bottom of the figure. Process mining is “process improvement oriented”, while “SIEM” is “risk aversion and management oriented”. Task mining is located in the middle. This is because task mining can be used for attendance management because it allows you to understand the entire daily work of employees. (In process mining, since only the data of operations performed on the business system is the analysis target, it is not possible to grasp the entire business of the day.)

In addition, process mining and task mining can be surrounded by the framework of “process intelligence”, but SIEM is not included because “process” is not analyzed.

And process mining is “DX-driven” because it is effective for process reform of the entire company and approach from the viewpoint of digital transformation (DX), while task mining is ultimately an automation at the task level Because it is often aimed at a certain RPA, it can be said that it is “RPA-driven”.

Let’s look at the key solutions in each category. At this time (February 2020), two key players in the Japanese process mining market are Celonois and myInvenio. Both tools are enterprise solutions with rich functions and excellent operability, and the number of enterprises, especially large enterprises, is increasing. And recently, both tools have added a “task mining function”. By being able to create not only event log data from business systems, but also flow charts (process models) from PC operation logs, it can be said that it meets the analysis needs necessary for RPA to aim for task-level automation Will be.

In the task mining category, heartcore, myInvenio’s sole agent in Japan, provides Heartcore Task Mining. In addition, MeeCap, which has a track record of introduction in the banking industry, has begun to expand to a process mining function that analyzes event logs from ERP and other sources.

In the SIEM category, Splunk and Skysea View are known, but Splunk has added a process flowchart function. However, it seems that analysis cannot be performed until the event log is imported.

プロセスマイニングツール – 日本 Feb2020

Available process mining tools – Japan Feb2020

当記事では、2020年2月時点で、日本において利用可能なプロセスマイニングツールをご紹介します。

留意していただきたいことがあります。「ツールを利用する」ということだけであれば、日本に拠点や代理店がなかったとしても、直接ベンダーに連絡すればライセンス購入可能です。しかし、プロセスマイニングツールは高度で複雑なツールです。「ちょっとお試し」、だったとしても残念ながら、そう簡単には使いこなせません。

そもそも、業務プロセス改善を目的とする「プロセスマイニングソリューション」の観点からは、ツールの操作方法の最低限のトレーニングに加え、データ前処理、分析結果の解釈など、専門性の高い人材が不可欠です。

多くの企業では、自前の人材だけでプロセスマイニングを導入して成果を出すことは難しいと思いますので、日本企業に対して、ツール操作トレーニング、データ前処理支援などのプロフェッショナルサービスを併せて提供してくれる代理店なりコンサルティング会社の存在があるツールのみをここではご紹介します。

とういうわけで、現在日本において、比較検討が可能なプロセスマイニングツールは以下の4つです。なお、以下は公開された情報に基づいています。ここに掲載がなく、「当社のツールも日本での販売開始してます」「うちも代理店として扱ってるよ」という会社様はお知らせください。

セロニス(Celonis)

日本法人あり。アビームコンサルティングなど、大手コンサルティング会社とグローバルなアライアンス契約を結んでいる。日本語ローカライズ済。

→ Celonis

マイインベニオ(myInvenio) 

独占販売契約を結んでいるハートコアがライセンス販売に加え、トレーニングをはじめ、各種プロフェショナルサービスを提供。日本語ローカライズ済。

→ ハートコア株式会社(日本総代理店)

シグナビオ(Signavio)

イントラマート社が、Signavio Process Miningを活用した「DXアプローチメソッド」を提供。日本語ローカライズ済。

→ 株式会社NTTデータ イントラマート(パートナー契約)

アビー・タイムライン(ABBYY Timeline)

OCR製品で知られるABBYY社が提供するプロセスマイニングツールです。日本語ローカライズ済。

→ ABBYY 日本

ラナ・プロセスマイニング(LANA Process Mining) 

リグリット・パートナーズが、ラナ・プロセスマイニングを活用した「オペレーションアセスメントサービス」を提供。日本語ローカライズ済。

→ 株式会社リグリット・パートナーズ(パートナー契約)

プロセスマイニングツール – グローバル Feb2020

Process mining tools – global Feb2020

現在、世界にはどんなプロセスマイニングツールがあるのか概観してみましょう。

2019年の時点で、大小合わせて30以上のプロセスマイニングツールが世界には存在していると考えられます。 米ITアドバイザリ企業Gartnerが2019年6月に発表した、『Gartner, Market Guide for Process Mining, Marc Kerremans, 17 Jun 2019』においては、代表的なベンダー・ツールが19種類挙げられています。

  • Apromore – Apromore
  • Celonis – Celonis Process Mining
  • Cognitive Technology – myInvenio
  • Everflow – Everflow
  • Fluxicon – Disco
  • INTEGRIS Explora
  • Lana Labs – LANA Process Mining – Magellanic
  • Logpickr – Logpickr Process Explorer 360
  • Mehrwerk AG – MEHERWERK ProcessMining (MPM)
  • Minit – Minit
  • Process Anaytics Factory – PAFnow
  • Process Mining Groups at TUE and RWTH – ProM, ProM Lite, RapidProm M, PM4Py
  • Process Gold – ProcessGold
  • Puzzle Data – ProDiscovery
  • QPR Software – QPR ProcesAnalyzer
  • Signavio – Signavio Process Intelligence
  • Software AG – ARIS Process Mining
  • StereoLOGIC – StereoLogic Process Analysis
  • TimelinePI – Process Intelligence Platform *2019年にABBYY社が買収

さて、これらのうち、グローバルなマーケティング&セールス活動に積極的と感じられ、Webサイトを通じて有益な情報を提供しているとして、私が日ごろからチェックしているのは、以下の10のツール・ベンダーです。

プロセスマイニングはまだ新しい市場であるため、ベンダー各社のライセンス販売本数や売上もほとんどが非公開、調査会社による市場シェア等は当てになりません。とはいえ、Celonisが市場リーダーであることは間違いなく、2番手にCognitive Technology、さらにLana Labs、ProcessGold、 Minitなどがそれぞれがんばっているという状況だと推測しています。

ユニークな存在としては、オープンソースのApromoreが挙げられます。同じくオープンソースのProMは主に学術的研究に利用されているのに対し、Apromoreは企業での活用も増えており、大規模ユーザーへの有償版の提供も始まっています。

なお、ProcessGoldは、2019年末、RPAベンダーのUiPathに買収され、同社の製品ラインアップのひとつとして販売される形となりました。このため、2020年3月に、「UiPath Process Mining」という名称に変更されています。

プロセスマイニングトレンド – グローバル 2005-2019

Process mining trend – global 2005-2019

日本では2019年初頭から本格展開が始まったプロセスマイニング。2020年は、本格導入する日本企業が続々と登場しそうな状況です。

さて、1990年代末に欧州・オランダで生まれたプロセスマイニングですが、2010年代から普及が本格化し、2018年以降はRPAに続くITトレンドとしてブームの様相を呈しています。

プロセスマイニング市場はまだまだ新しいため、市場全体を把握できるデータや資料がほとんど存在しません。そんな中、イタリアのITコンサルティング会社、「HSPI Management Consulting」が2018年から毎年発行している「Process Mining: A DATABASE OF APPLICATION」は、プロセスマイニングプロジェクト件数ベースでの概要を伝えてくれる貴重な調査資料です。

当記事では、上記調査資料の最新版、2020 Edition(2020年1月20日公開)の一部をご紹介します。なお、以下に示すデータは、世界各国のプロセスマイニングツールベンダーや、プロセスマイニング導入を支援するコンサルティング会社等に協力を仰ぎ、任意に提出された過去のプロジェクトの件数や概要に基づくものです。調査に協力していないベンダー、コンサルティング会社等のプロジェクトはカウントされていない点にご留意ください。

年別プロジェクト件数推移

まずは、年別のプロセスマイニングのプロジェクト件数の推移を見ましょう。以下のグラフからわかるように、2011年からの伸びがめざましく、2019年は100件に届こうとする勢いです。昨年2019年は75件と減少していますが、HSPIによれば今回の調査時期が2019年秋だったため、未完了プロジェクト分がレポートされたためだろうと述べています。2021年版で明らかになりますが、実際には、2019年の年間プロジェクト件数は100件を大きく超えていると思われます。

産業別プロジェクト件数

次に、2005-2019年の総プロジェクト件数551件の産業別の内訳を見てみましょう。最も多いのは、航空、自動車、建設、物流などの業界で21%。航空業界だと、エアバス、ルフトハンザ航空、また自動車業界では、BMW、PSI、フェラーリ、ポルシェなどがプロセスマイニングに取り組んでいることが知られています。

次いで、「銀行・保険」で17%。様々な手続きに係る社内業務が煩雑であることから、コスト削減余地が大きい業界だからでしょうか。

3位につけているのは「医療・医薬」で16%です。プロセスマイニングは、初期の頃、病院での医療行為(医療検査など)への適用事例が多く報告されていますが、近年は製薬会社での導入も進んでいます。

地域・国別プロジェクト件数

地域・国別のプロジェクトの構成比については簡潔に触れるに留めます。プロセスマイニング発祥の地、欧州が最も多く37.9%を占めています。次いで、米国5.0%、ブラジル4.0%、オーストラリア38%と続いています。

プロジェクト対象プロセス・目的

この調査資料は、DATABASE OF APPLICATIONとあるように、各プロジェクトについて、企業名(匿名の場合もある)、業種、プロジェクト概要が収録されています。簡潔なプロジェクト説明ですので詳細はもちろん推測するしかないのですが、価値ある事例集だと言えます。

2019年の最新事例をざっと眺めてみると、従来から多かった購買プロセス(P2P: Procure to Pay)、受注プロセス(O2C: Order to Cash)や、ヘルプデスクのITSMプロセス以外の多様なプロセスへと適用が広がっているのがわかります。また、RPAによる自動化を目的に、タスクレベル分析、すなわちタスクマイニングの事例もいくつか登場していることが特筆できるでしょう。

当調査資料(PDF)は、無料でダウンロードできます。

→ Process Mining: A DATABASE OF APPLICATIONS 2020 Edition (HSPI)

プロセスマイニングとは – What is process mining?

「プロセスマイニング」は、主に業務プロセスの「見える化」を行う分析手法です。分析対象としては、業務遂行に用いられる様々なシステム、具体的にはERPやCRM、SFA等の操作内容を詳細に記録したデータ、すなわち「イベントログ」を用います。

プロセスマイニングを行う主な目的は、プロセスに関わる様々な問題を発見することです。例えば価値を生まない無駄な手順や、非効率な活動、業務の滞留が発生しているボトルネックなどを特定し、是正することで、プロセスを開始してから完了するまでの所要時間を短縮、あるいは、プロセスに係るコスト削減を狙います。

プロセスマイニングを病気の治療にたとえるなら、改善すべき問題プロセスは、CoE(Center of Excellence)と呼ばれるプロセス改善のための専門病院に入院させます。そして、まずは治療対象プロセスの概要を把握するための問診を行います。

次に、X-ray(レントゲン)は、レントゲン写真や、CT検査としてのプロセスマイニングにより、業務プロセスを「見える化」します。見える化、すなわち業務プロセスを表すフローチャートを見ながら、非効率、ボトルネック、逸脱などの病巣を特定。

さらに詳細に病巣を検査したければ、PC操作ログを収集、分析するタスクマイニングを実行します。タスクマイニングは、内視鏡のようなものです。

病巣が特定され、また根本原因が判明したら、適切な治療方針・処方を行い、手術(改善施策)に着手します。無事、病巣、すなわち問題箇所が解消され、対象プロセスが最適化されたら、予後の経過を見るために定期検診=継続的モニタリングを行い、再発防止に努めるのです。